「舌は、健康のバロメーターです。毎日、自分の舌を見てほしい」

 そう話すのは、舌や口臭など口腔内の変化から不調を見抜き、“なぜか全身の病気まで治る”と評判の歯科医師・中城基雄先生。舌を見るだけで、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)という大病の予兆までわかるという。

自分の舌、見てますか?

「実は、口腔内は体調の変化が現れやすい場所。なかでも、舌は身体の不調が真っ先に出るんです。大病だけでなく、乾燥・むくみなどの体質まで、舌にハッキリと現れますよ。ですから、セルフメディケーションのひとつとして、“舌チェック”を行うことは非常に有効。舌の変化に気をつけて、健康生活を送れば、大きな病気も自然と避けられるはずです!

 でも、どうして舌を見るだけで身体の変調がわかるの? その理由と舌チェックの方法、気をつけておきたい“不調舌”を解説します!

健康状態&体質が舌でまるわかり!

舌は、毛細血管が多く集まる粘膜組織であるため、血流や体液の変化が真っ先に現れる場所。さらに、舌の筋肉運動は自律神経にも大きく影響を受けていますから、舌の状態を見るだけで、血流・体液・自律神経の働き具合が1度に把握できるのです

 また、舌を出して見るだけという手軽さも、体調管理法として優れているという。

「何も道具を必要としませんし、継続しやすい。毎朝、あっかんべーして、舌の状態をチェックしてほしいですね」

“舌チェック”のメリット
◎あっかんべーするだけで手軽
◎1人でもしっかり確認できる
◎家族間で気軽にチェックしあえる

だから舌で身体の不調がわかる!

■血流の状態がわかる

舌上には多くの毛細血管が集まっているため、全身の血流の変化が真っ先に現れる。また、身体の血管で直視できるのは舌下静脈のみ。

■体液(水分量)の状態がわかる

口腔内は、唾液の分泌によって常に湿潤した粘膜組織。なかでも、舌上の組織は、体液の損耗でいち早く潤いや乾きの変化を受ける。

■自律神経の状態がわかる

過緊張やストレスで、舌の筋肉運動がうまく働かなくなり言葉がつまるなど、舌は自律神経の影響も大きく受けている。

舌の5大チェックポイント

 舌に力を入れずに“あっかんべー”。鏡で自己確認するだけでなく、家族に見てもらっても◎。チェックする前は、コーヒーやカレーなど、舌に色がつきやすい食事の後は避けること。また、蛍光灯などは色の影響を受けてしまうため、自然光の下で見るのが望ましい。

(1)色

血流の動態や身体の温度がわかる。色の基準がわかりづらい場合は、家族などほかの人と比べてみるとよい。

(2)大きさ、形

体液(水分量)の状態、つまり乾燥ぎみかむくみぎみかがわかる。シワが濃くなっていないか、いつもより大きくなっていないかなどを確認。

(3)舌苔(ぜったい)の状態

体液の粘張度がわかる。舌苔の量や色、まだらになっていないかを見ること。

(4)舌の裏の血管

身体のなかで唯一、直視できる静脈(舌下静脈)を見て血流の疎通状態を確認。形や色、左右差の有無をチェック。

(5)舌の動き

自律神経の働きを確認。リラックスした状態であっかんべーをし、まっすぐ出せるか、余計な力が入らないかがポイント。

あなたの舌は大丈夫? “不調舌”リスト

 自分の舌をチェックして、これらの状態に当てはまっているようなら、要注意!

不調舌リスト イラスト/上田惣子

■表面が白い→身体の冷え、胃弱

表面が白いのは、舌苔が増えすぎている状態で血流不足のサイン。黄色がかった場合は、胃や肝臓のトラブルを抱えていることも。

■舌苔がまだら→免疫力低下

過度のストレスなどで身体のバリア機能のバランスが悪くなっている証拠。昼夜逆転など生活リズムが整っていないときや不安障害の兆候にも。

■表面が割れている→水分不足

地割れのような亀裂がある場合、身体は乾燥傾向。不眠や便秘、さらに体内の塩分濃度も高まるため、高血圧や脳卒中の危険も。

■赤い→高血圧

血流が悪く、血管に炎症を抱えている可能性も。特に、舌先の先端が赤いときは、要注意。常に身体が熱くなりがちという特徴も。

■ふちがギザギザ→慢性疲労、むくみ

水分代謝が悪く余剰水分がたまって舌がむくんで肥大化→歯形に沿ってギザギザに。下痢やめまい、慢性疲労に陥りやすい。

当てはまったら病院へ“危険舌”

危険舌リスト イラスト/上田惣子

■舌苔が黒い(こげ茶)→胃潰瘍・胃がんのキケン

消化管、特に胃・十二指腸に何らかの潰瘍(かいよう)、炎症性病変が隠れている兆候。1度、病院を受診したほうがいいでしょう。

■まっすぐ出せない→心筋梗塞のキケン

筋肉を正常に動かす神経が侵されたり、血管が詰まりかけている可能性あり。舌の表面が細かく波打つのも危険シグナル。

■舌の裏の血管がボコボコ→脳卒中のキケン

血液が悪く、血管が詰まりやすい状態。紫や青黒く見える場合も要注意。左右差が顕著なときは、すぐに病院に行ったほうがよいレベル。

▼プロフィール
歯科医師 中城基雄先生
中城歯科医院院長。鍼灸(しんきゅう)師でもある。体質由来の口臭治療の専門医として、3500人以上の口臭を治療。口臭を含む口腔内の変調を病気のサインとしてみる姿勢から、なぜか、全身の状態がよくなると噂される歯科医師に。『病気の9割を寄せつけない たった1つの習慣』(1300円税別、サンマーク出版)は、口の中だけでなく、顔や声、姿勢を見るだけで、身体の調子を見抜く方法を中城先生が解説した1冊。自分の体質を知れば、不調の原因もわかるかも!