綾野剛 撮影/伊藤和幸

恋ってトキメキで始まるのですか? そうなんですか? 恋というのは、好きな人がいるかいないかじゃないですか

 ドラマ『フランケンシュタインの恋』で、綾野剛(35)が人間に恋する怪物役に。といっても、人間を襲う恐ろしい怪物ではなく、綾野が演じる怪物は、ピュアでどこか愛おしい。

「共演者の方々はものすごいパワーを持った方たちばかりで。だからドラマにおける“余白”を芝居で全部埋めてしまうと緊張感たっぷりの作品になってしまう。なので、僕が演じる怪物の中には圧倒的な“隙”を意識しました。

 隙だらけのピュアな怪物にして、そこにできた余白に見ている人たちが自分たちの思いを埋めていける。そんなドラマにしたいんです

 主題歌はRADWIMPSが担当。『棒人間』の楽曲を、綾野自ら推薦した。

「RADWIMPSのメンバーとは長い付き合いなので、いつか仕事をしたいねって話はしていたんです。友人だからこそ彼らが作り上げてきたものを絶対的に守らなきゃいけないし、彼らの持つ資質を大事にしなくてはいけない。 生半可なコラボならしたくなかったけど、あの曲の“ねぇ、僕は人間じゃないんです”って歌い始めもドラマの内容にリンクしているし、これが主題歌になったら、もう劇的でしかないって思ったんです

 連ドラ主演は『コウノドリ』以来の1年半ぶりということで、作品に対しては並々ならぬ思いが。

 昨年から『リップヴァンウィンクルの花嫁』『日本で一番悪い奴ら』『怒り』『新宿スワンII』など出演映画の公開が続いた。演じてからタイムラグがある映画とは違い、リアルタイムで視聴者の評価を知ることができるのがドラマ。やっぱり“反応”って気になるもの?

「作品にみなさんがどれほど興味を示してくれているのかというのは、主役として大事なこと。だから見てくれている人たちの意見はチェックします。でもちゃんとそこに“賛否”がないと怖い。“賛”“否”どちらかしかないと、それはちゃんと浸透していないということだから。誰でも責任なく意見を言えるネットや、そういう場所で放たれた言葉のほうが、実は本質的だったりします。僕たちの芝居にいい影響を与えてくれることもあり、アイデアの宝庫だと思っています

テレビでは楽しんでいる姿を抑えていた時期もあった

 役を演じることに関してどこまでもまじめな綾野だが、最近ではバラエティーも楽しむ様子が。クールな外見とは裏腹に、お茶目な一面には驚きの声も。

「バラエティーって楽しいじゃないですか。僕にとってすごく鮮度の高い場所なんです。すごいスピードの中、たくさんのものが生まれていく。このスピードのままドラマが撮れたらどんなことになってしまうのだろうって思うくらい。台本もないし、次に何が撮れるかもわからない。映画やドラマなど普段は“虚構”で役として関わっているけど、バラエティーでは単純に“綾野剛”として楽しんでいるだけです」

 といっても、はじめからそれができたわけではなかった。

テレビに出た当初は、楽しんでいる姿を抑えていた時期もありました。でも、それだと届かないんです。見ている人も楽しくない。そのチャンネルを選んで見てくれている人にも楽しんでほしい。自分が今の立場にいられるのも、これまで人とのコミュニケーションをあきらめてこなかったからだと思います」

ズバリ、いま恋はしてる!?

 ドラマや映画で見せる役者の顔と、バラエティーのときの“綾野剛”とのギャップに心奪われる女性ファンも多い。そうなるとやっぱり気になるのが恋の話だが、ズバリ、いま恋はしてる!?

「していません。トキメキ? 恋にトキメキは必要ありませんよ。トキメキって男性に対しても女性に対しても、常にあるものなんです。それこそバラエティーをやっててトキメキを感じることも。

 最近だと渡辺直美さんかな。本当に可愛らしいなって思いました。ただ、可愛らしいだけじゃないんです。自分だけが突っきらずに、現場のことも周りのことも考えて。ちゃんと周りを見ている姿にギュッときましたね

綾野剛 撮影/伊藤和幸

 恋愛において大事なのは“その人のことを好きかどうか”とキッパリ。

「僕、人間的に好きっていうところから恋愛は始まっていくと思うんです。その人のことを知らず、いきなり恋愛から始まることはまずありません。一目惚れ? 一目惚れとはジャンルが違いますが、可愛いなって思う人はたくさんいます。芸能人は、みんなカワイイ人ばかりじゃないですか(笑)」

 現在35歳。同年代の俳優仲間が次々と結婚する中、先日出演したバラエティー番組で“結婚願望”を明かしたことも話題となった。

結婚願望というと結婚したいと思われがちですが、率先して結婚したい気持ちは実はないです。でも(結婚を)想像することは許された気がします。これまで誰かの生活まで考えて生きていくことなんて、考えたこともなかったんです。いま自分の人生の中に誰かの人生が入っているとしたら、家族とマネージャーふたりと(親友の)山田孝之くらい」

 以前は“自分の血を残したいと思ったことすらなかった”と綾野。そんな固い彼の心を動かしたのは、夫となり父となった仲間たちの存在だった。

「周りが結婚したり、子どもが生まれたりして。(向井)理なんか、最近すごく笑顔がステキなんですよ。“すごい笑うようになったよね”と言ったら“子どもがいたら笑顔が得意になるよ”って。その言葉にまさにトキメキました。そんなセリフが世の中にあったんだ、ってびっくりして。いつかは自分がそういう環境に行くことを許してもいいんじゃないかなって、そのとき思えたんです」

 理想の女性像は?

「僕はやっぱり仕事が好きだから。そういうことも、全部寛容にやらせてくれる人じゃないと難しいと思います」

 

<ドラマ情報>
『フランケンシュタインの恋』
日本テレビ系 4月23日(日)夜22時スタート

『フランケンシュタインの恋』より (c)日本テレビ

 120年もの間、人間から身をひそめて孤独に生きてきた不老不死の怪物(綾野剛)。女子大生の津軽継実(二階堂ふみ)は、森で「自分は人間ではない」という怪物と出会い……。怪物×人間が繰り広げる年の差100歳の異色ラブストーリー。