17歳の高校生の女の子が主人公と聞いて、あんまり期待しないで見たら(失礼!)、妙に心をつかまれてしまった。世代を超えて“昔・女の子”だった人はみんなどこかで共感できるのではないだろうか?
ヒロインの高校生、ネイディーンはどこか周りの世界にうまく溶け込めないでいる。ひとつには兄が優等生のイケメンなのに、自分は何をやってもダメダメだから。そんな彼女のグチの相手は彼女同様、ダメダメな高校教師。風采はパッとしないし、なんだか風変わりな先生。ダメな自分に嫌気が差して、自殺しようと思って彼に会ったら、先方も自分に嫌気が差して遺書を用意していた(笑)。
ちょっと前までネイディーンには幼なじみの女友達がいた。何でも話せて気が合っていたのに、よりによって、ネイディーンの天敵の兄と恋人同士に! 「私か兄のどっちか選んで!」。そんなふうに迫ったものの、ネイディーンに勝ち目ナシ。
父が他界後、母親はネットで知り合ったヤバそうな男性とデートして、さんざんな目に……。ネイディーンもダメダメだが、この子にして、この親あり? ネイディーンには本当は憧れの彼がいるのに、自分の思いをはっきり告げることもできない。そんな彼女に意外な転機が訪れる。
嫌われ者の主人公のダメダメぶりが愛おしく、こういうところが昔は(いや今も?)自分にあるなと思わず苦笑い。ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞候補になったヘイリー・スタインフェルドは本当にすごい存在感だ。女性の新人監督、ケリー・フレモン・クレイグは自身で脚本も手がけ、女性らしい温かい眼差しで少女や家族を見つめている(ニューヨーク批評家協会賞の第1回監督作品賞も受賞)。
思春期の女の子が本当の自分と家族について考え直す展開で、その恋愛の描写もナイス。最後は100%イイ気分になれることを保証します!
文/大森さわこ