イメージを覆すこだわりのキャスト
デビュー10周年を迎えたベストセラー作家、湊かなえの同名小説をドラマ化した金曜ドラマ『リバース』(TBS系 金曜 夜10時~)。
「ミステリーが苦手な方にもお楽しみいただけます。毎回、クスッと笑える場面があり、湊先生も“自分の作品でこんなに笑ったのは初めて”と、おっしゃっていました」
こう話すのは、新井順子プロデューサー。女性が主人公の『夜行観覧車』『Nのために』と、湊作品を手がけてきたが、今作では男性を主人公にした物語の映像化を企画。主演に藤原竜也を起用した理由については、
「藤原さんのカッコいいイメージをくずしたかったんです(笑)。ダサくて冴(さ)えない役を演じてもらったら面白いかなと。難しかったのは、服装選び。藤原さんは何を着てもカッコよくなってしまうので、何回も試着してもらいました」(新井P、以下同)
藤原が演じる深瀬は、イケてない服装&オドオドして、しゃべり方もボソボソとしていて、これまでの藤原のイメージを見事に覆している。また、原作にはない登場人物でフリージャーナリストの小笠原役の武田鉄矢らキャスティングにも意外性を狙った。
「武田さんは、怖い刑事役の印象が強いかと思いますが、今作ではヘラヘラしています。深瀬のゼミ仲間で浅見役の玉森裕太さんは、とにかくクール。同じくゼミ仲間の谷原は、最近では大人っぽい役が多くなった市原隼人さんに、テンションの高いパワフルな役を演じてもらっています」
物語は、地味で冴えない深瀬(藤原)の恋人・美穂子(戸田恵梨香)のもとに“深瀬和久は人殺しだ”の告発文が届いたことから始まる。
10年前、大学卒業の思い出作りにゼミ仲間5人で向かった雪山で、唯一の親友・広沢(小池徹平)が命を落とした。深瀬はその事故で、警察には言えない秘密を浅見、谷原、村井(三浦貴大)と共有していた。それは、遅れて合流する村井を、広沢に迎えに行かせたこと。広沢は免許を取ったばかりのうえ、苦手な酒を飲んでいたこと……。
「告発文を送ったのは誰か? に加え、かつてはそれほど仲がよくなかった深瀬、浅見、谷原、村井が事件と向き合うなかで絆(きずな)を深め、友情を築いていく人間ドラマを描いています」
毎話、登場する雪山の“リバース”シーン
10年前の事件の新事実を描く“リバース”シーンは毎話、登場する。原作では事件が起きたのは夏の避暑地だが、ドラマでは一見して“リバース”したのがわかるように、雪山になっている。
「氷点下20度近い雪山での撮影は非常に過酷なものでした。機材が凍ってしまうし、足をとられて動けない。役者さんの服や顔も凍りついてしまうんです。そのため、劇中の深瀬たちの寒そうな様子は本物です! 雪山での撮影がクランクインだったので、一体感ができ、非常にチームワークがよくなりましたね。
スタジオでの撮影時にスタッフが大喜びしたのは、藤原さんの差し入れです。高級焼き肉弁当を全員にいただきました。みんな“さすが、座長!”と美味しくいただきました」
第3話(4月28日放送)では、深瀬同様に告発文が届いたゼミ仲間4人で集まるが、誰も犯人について思いあたるところはなかった。そんななか、ついに最初の犠牲者が─。
「3話では、浅見と話していた深瀬が“ベソベソ”泣く姿にもご注目を(笑)。また、深瀬が、反対側の駅ホームにいる美穂子に声をかけた直後に、電車がふたりの間を通過するシーンがあります。タイミングの難しい撮影なので、時間がかかるかと思ったのですが、本番一発OK! 藤原さんと戸田さんの息の合った芝居の賜物(たまもの)に、“奇跡”だと思いました」
最終回では、ドラマオリジナルで、原作のラストの先を描いているという。最後まで、お見逃しなく!
びっくり!深瀬の超“ダサコーデ”
チェックシャツに柄物のセーターを合わせ、柄のマフラーを巻く─。着るものに頓着しない深瀬のファッションセンスには驚くべきものが。
「ちなみに、靴はずっと同じものをはいています。見た目と藤原さんのお芝居が合わさって、挙動不審で冴えない深瀬になっています(笑)」(新井P)
愛用のリュックを押さえながら走る姿も“ダサカワ”なポイント!