『ひよっこ』より (c)NHK

「当時の工場の様子を、ほぼ再現できていると思っています。本当にラジオが作れますよ」(スタッフ、以下同)

 朝ドラ『ひよっこ』で、ヒロインのみね子たちが働く向島電機。実はトランジスタラジオ工場ではなかった可能性もあったという。

「集団就職で上京し、工場で働くことは決まってましたが、当時のことを調べるほど、機械的なものを今、きちんと再現できるのかという問題が出てきまして。設定をネジ工場にしようかという案も浮上したんです」

 そこに現れた“救世主”が、秋田県で今もトランジスタラジオを製造している工場。

「撮影で使用している部品や機器は、そこの工場からお借りした、’60年代に実際に使用していた本物を使っています。足りない部品などは専門家の方と、秋葉原の店を回って当時と同じものを調達しました」

当時の工場の規模は、監修した専門家によると、この2倍ほどの規模が主流だったという

 ラジオの基板が流れていくベルトコンベヤーは、大道具が一から作り上げたもの。

「実際のスピードがどれくらいかわからなかったので、流れるスピードも調整することができるようにしてあります」

 みね子たちの前を流れるベルトコンベヤーの速さは1秒間に1cmの速さで動く。ひとりが1回の工程で基板に差し込む部品の数は、抵抗やコンデンサーなど8個。有村たちも、このスピードで作業をこなすためにはかなり練習したという。

ベルトコンベアーの様子

 みね子が実在していれば、現在は70歳くらい。作中の乙女寮には40~50人の“乙女”たちが暮らしている設定だが、彼女たちと同様に、寮生活でこの時代を生きた人たちからも、称賛の声が上がったという。

「実際に集団就職で働いていた方たちの同窓会にうかがって取材させてもらいました。舎監を務めていた方のほかにも、たくさん手紙をいただきまして、同封された当時のスナップはみなさんの笑顔がとてもよくて。なるべくこの方たちの楽しい話を入れていこう、と思います」