《「なんで私ばっかり…」という言葉が浮かんできたことは正直に言うと、一度や二度ではありません。最近話題のワンオペ育児という言葉にもつながることかもしれません》
5月17日、複雑な胸中をブログに吐露したのは福田萌。オリエンタルラジオの中田敦彦と'12年に結婚、3歳の長女と今年1月に生まれたばかりの長男の子育てに励む2児の母だ。同様に育児に悩む芸能人ママは少なくない。千秋や小倉優子もテレビで苦労を語り、あびる優も2歳の娘の育児について、18日にインスタグラムにこう綴っていた。
《我が家は基本的に家事育児全般は私担当。娘はかわいいけど、やっぱり『なんで私だけ、、(原文ママ)自由に眠れない、自由に外出できない、常に家事育児と奮闘しなくちゃいけないの、1人の時間がないの』って、心身の不満が爆発寸前もしくは爆発する時があります》
モデルの中林美和は、夫のZeebraについて、昨年末にTwitterでこう投稿したことも。
《家事育児は100%私。プラス仕事。たまに夫に子供のこと頼むと、体温計がないことでイライラされる。いや、それだけ普段の生活共にしてないからイライラするんだよ》
このように妻の側に育児の負荷が偏っている状態を『ワンオペ育児』という。
「主に育児の面でパートナーをアテにできず、祖父母や近所の知り合いなどの頼れる人が身近におらず全部、自分ひとりで回していかなくてはならない状況のことです」
こう語るのは、家事シェア研究家で、NPO法人『tadaima!』の代表理事・三木智有さん。これらのブログをもとに、東京・杉並区の公園で母親たちに話を聞いてみると、同様の声が。
「家族サービスや手伝いって言葉にイラッ。あなたも子育ての当事者よ! って思います」(29歳/専業主婦)
「1日のうちにやるべき家事は決まってるけど子どもの動きは読めないもの。育児にかかりきりになると、ほかの家事が進まないのは理解してほしい。文句言うなら手伝って」(34歳/エステティシャン)
「同じように働いてるのに、なんで私のほうが家事の分担が多いの? 半分ずつにしてくれたっていいのに」(33歳/製薬会社社員)
「夫が平日働いてくれているのはわかるけど、私に休みの日はないわけ? 召し使いじゃないんだから、自分のことは自分でやって!」(38歳/専業主婦)
と鬱憤がたまっている様子。これは単なる負荷の問題ではないと、三木さんは指摘する。
「家事や育児の分担を50対50にすることが理想というイメージを持っていると思うのですが、家事や育児が抱える負荷は“負担”と“不満”の2種類に分けられ、食事を作る、子どもを寝かしつけるなどの労働作業が“負担”、“自分だけが子どもの面倒を見なくてはいけない”“自分も社会へ復帰したいのに、自分ばかりが時短の交渉をしなくちゃいけない”などの我慢している状況が“不満”です」
最近ではファミリーサポートや家事代行サービスも多く、
「積極的に外注に任せることも、手っ取り早くワンオペを解消できる手段です。金額的にも比較的使いやすい価格帯も出てきていますし、共働き家庭であれば、投資だと思って利用してみるのもいいかと思います」(三木さん、以下同)
負担は便利家電や家事代行の活用で軽減できるものもあるが、不満はなかなか解消することができない。
「不満が消えれば、家事分担が50対50や、極端に言えば100対0でも満足できる人はいます。不満を解消するうえで手っ取り早いのは、夫婦間でのコミュニケーションをしっかりとること。でも、できていない家庭が意外と多いんです。望むことを端的に説明することがポイントです」
夫に自分で気がついてほしいからと“謎かけ”のような説明をする人もいるとか。
「“あー、疲れた”と伝えたところで“手伝うよ”とは言ってもらえません。パパは基本、伝えないとわかりませんし、普段の家事の様子を見ていないものと思ってください(笑)。見ていたら、自分から手を動かせますからね」
とはいえ、家事や育児でパパママが足並みをそろえて相手が求めているクオリティーをこなすのは、難しいこと。
「ママが不満に思うのは、自分が家事や育児をしているときに、一緒にいるパートナーが何もしていないことなんです。そこでパパにおすすめしているのが、やるべきことを時間の帯で見て、決められた時間内で並行してタスクをこなす『パラレル家事』です。ママが家事をしている時間は、自分も少しでいいから家事に取り組む時間にすることです。
例えば、朝の準備であれば(1)朝ごはんを作る(2)子どもに食べさせる(3)着替えさせる(4)ゴミをまとめる(5)ゴミを捨てるなど、毎朝やることは決まっていますよね。何をどちらがやるのかを決めずに、“朝の時間帯にやるべきことがこれだけある”と夫婦2人で理解し、一緒につぶしていくイメージです」
夫婦そろって同じ目標を掲げるだけで、ワンオペの不満が軽減されるのだ。