横森理香さん 撮影/竹内摩耶

暗~く重~い響きの“更年期”を明るく!

 40歳前後になると頻繁に耳にする「更年期」という言葉。この言葉に恐怖を抱いている女性って多いはず。そんな「更年期」のネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)してくれる本が、横森理香さんの新著『コーネンキなんてこわくない』だ。

 いしかわじゅんさんのキュートなイラストに、ピンクの帯。ついつい手に取りたくなるポップなデザインは、さながら恋愛小説本のよう!

 そんな本書はオンラインメディア『Our Age』での連載記事からの抜粋を加筆・修正し、さらに書き下ろしで構成したもの。

「更年期を乗り越えるためにいろいろな挑戦をするっていうチャレンジエッセイなんだけど、何がよかったって、結果、すごく体力がついたの。1年半前にこの連載の打ち合わせをしていたころは結構どっしり疲れていたんだけど、ありとあらゆるアンチエイジングものを体験していたら、だんだん疲れにくくなって体調もすごくよくなってきましたね

 そう話す横森さんはハツラツとして元気そのもの。若々しく、とても50歳を過ぎた女性には見えない。しかし実際には、更年期の諸症状にそうとう悩まされていたそう。

もともと大きい子宮筋腫持ちで月経過多や過長月経はあったんだけど、ひどい肩こりや指先のしびれ、ホットフラッシュとかいろんな不調が出てきたの。そのうちに身体だけじゃなくて、落ち込みやすくなるなど精神的にもダメージが出てきたりして。女性ホルモンのハーブを飲みつつ、鍼灸(しんきゅう)・整体院通い(笑)。そんなときに声をかけられて始まったのが、この連載企画でした」

 さまざまなチャレンジの中でも特に気になるのが、フランスのアンチエイジングの権威・ショーシャ先生が生み出した若返り法。お値段は約20万円ほどと庶民には少し手を出しづらいお値段なのだが、実際の効果のほどは?

「『Dr.ショーシャ式 アンチエイジング』を日本で受けることができる和田秀樹先生のクリニックに伺ったんです。そこでは身体の酸化防止のための120種類の食品アレルギー検査をしたの。それまでにもアレルギー検査って受けたことがあったんだけど、せいぜい10数種類とかでしょ。120ってスゴイよね。あと、神経伝達物質の検査も一緒にして、その結果をもとにサプリの処方や生活・食事指導が行われるんです。この検査はフルで受けると高いけど、この秋ごろにもう少し簡易的な検査が3万円くらいで手軽に受けられるコースができるみたいですよ」

 検査の結果、卵白と小麦に亜急性のアレルギー反応が出ていたとか。亜急性のアレルギー食品は、身体の中で軽度の炎症を起こし老化を促進してしまうので、アンチエイジングと健康管理の両面から食べないほうがいいものだ。

私、パンが大好きだし、パスタやケーキもダメなんて! 食べられないと思うとよけい食べたい! って最初はつらかったんだけど、 最近は美味しい米粉のパンもあるし、グルテンフリー生活も慣れれば苦じゃないんですよ。最初の数か月は完全に抜くんだけど、それからは私の場合4日に1回とかは食べていいし。そうするとね、たまのパンやケーキがすごく美味しく感じるの。始める前より体調はいいし、太りにくくなった気がする」

仲間と楽しく乗り切るのがベスト

 なにかと落ち込みがちな更年期の時期を、明るく楽しく過ごしている姿はとってもうらやましい。

『コーネンキなんてこわくない』(横森理香=著 1400円+税 集英社) ※記事中にある書影をクリックするとamazonの紹介ページにジャンプします

「『更年期』って漢字で書くと、暗くて重いイメージがあるでしょ? だから、何か不調を感じてもなかなか病院に行かなかったり、ホルモン補充療法も積極的に行う人って少ないですよね。でも、どうせ誰もが経験することなら、もっとオープンに話してもいいし、仲間と楽しく乗り切ったほうがいいじゃない? だから、ネガティブな感じにしたくなくて、更年期を『コーネンキ』ってカタカナにしたんです

 この本の中で横森さんはさまざまなアンチエイジングケアに挑戦している。太極拳や1万歩ウォーキングに挑戦したり、落語を聞きに行って「笑い」で更年期に立ち向かったり、はたまた補正下着を試着しに行ったり……。もちろん、更年期の症状は人それぞれで、うつになったり一気に老け込んだり深刻な場合には医学の力は必要だろう。でも、この本を読んでいると、横森さんも書かれているが、やっぱり行動療法が一番イイのではないかと思ってしまう。

 更年期真っただ中の人はもちろん、来るべき40代に戦々恐々としているプレ更年期世代の人も、これを読めば「そうだ、コーネンキなんて誰もが通る道なんだ!」と思え、きっと気持ちが軽くなるはず!

取材・文/アリス美々絵

<著者プロフィール>
よこもり・りか◎作家、エッセイスト。1963年、山梨県生まれ。多摩美術大学美術学部卒業。1992年『ニューヨーク・ナイト・トリップ』で作家デビュー。エッセイ『40代♪大人女子のための“お年頃”読本』はベストセラーに。自身が主宰する東京・渋谷のコミュニティーサロン『シークレットロータス』では、ベリーダンス講師としても活躍中。