ドラマ『小さな巨人』(TBS系 日曜夜9時~)は、エリート刑事の道をはずされた主人公が、警察組織の中でもがき、奮闘する姿を描いたエンターテイメント。主演の長谷川博己は、クランクイン直前に40歳になり、不惑の決意で取り組んだ意欲作だ。

日曜劇場『小さな巨人』で、警察組織の中でエリート刑事の道を外された主人公を演じる長谷川博己

第2章“豊洲署編”新たな壁との闘い

 警察組織の中でもがき、奮闘する男たちを描いた警察エンターテイメント。事件解決に加えて警視庁と所轄の確執など、警察組織内部の抗争などの人間模様を描いている。

弱い立場にあっても志を大きく持ち、巨大な壁に立ち向かっていく。そんな意味合いを込めてタイトルをつけました。

 悪事を許さず、正義のために奔走する警察官がいる一方で、警察官の不祥事があるのも事実。警察官もまた人間で、いろいろな人がいる。日本の平和のために、毎日働いている警察官たちの喜びと苦悩をドラマにできればと思いました

 こう話すのは、伊與田英徳プロデューサー。

 主演は長谷川博己。エリート街道まっしぐらだったが、ひとつのミスから所轄に追いやられ、さらに役職が上がらないまま、2度目の所轄異動を命じられた主人公・香坂を演じている。長谷川について、

見た目はシュッとしてスマート。でも骨太というか、みなぎるパワーがあって、芝居に迫力があるんです。部下思いの香坂は、それがゆえに窮地に立たされることも。そんなやさしさは、長谷川さんにしか出せないものだと思います」(伊與田P、以下同)

 共演者も豪華だ。東大出身なのにキャリアを目指さず、ノンキャリアのトップの捜査一課長を目指す山田を岡田将生、香坂の影響で人事課職員から所轄刑事になった三島を芳根京子、所轄から捜査一課長付運転担当になった渡部を安田顕、そして、小野田捜査一課長を香川照之がそれぞれ演じている。

 第2章“豊洲署編”がスタートし、学校法人・早明学園理事長役の和田アキ子、同学園専務で元捜査一課長役の梅沢富美男、同学園を内偵捜査していた刑事役のユースケ・サンタマリアら、新たなキャストも登場。堀尾正明アナ、アンジャッシュの児嶋一哉ら、ピンポイントでのゲスト出演が多いのも特徴だ。

「この先“芝署編”に登場した人が戻ってくるかもしれません!」

出演者も驚く予想外の展開

 “芝署編”では恩人の三笠署長(春風亭昇太)が内通者だったり“豊洲署編”では山田刑事が殺人犯と疑われたりと、予想外のストーリー展開を見せている。

「昇太さんにはあらかじめ、こういう役と説明していましたが、実際に台本をお読みになって“えーっ!”と声をあげられたそうです(笑)」

 第8話(6月4日放送)では、香坂は、元捜査二課の江口(ユースケ・サンタマリア)を殺害したのは、富永専務(梅沢富美男)だと確証をつかむ。だが任意同行を了承した小野田捜査一課長が、あっさり釈放。理由は、富永を取り調べる中で新たな証拠が提出されたからだ。小野田の部下、藤倉(駿河太郎)らは現場に残された証拠からも、失踪した横沢(井上芳雄)が犯人だと捜査を再開。香坂は、横沢が事件の鍵を握っていると捜査一課に協力。横沢が妻・亜美(中村アン)に接触する可能性が高いと推察し、信頼されている三島に見張り役を任命する。そして、横沢から亜美に連絡があり……。

かつては香坂と同志だった渡部から“所轄は指示があるまで待機!”と言われる立場に

香坂は、いちばんの権力者である小野田捜査一課長にどう立ち向かっていくか。さらに、梅沢さんが演じる元捜査一課長との闘いも見どころです。国家権力まで絡んだ事件に発展し、捜査に取り組む所轄のイチ警察官の奮闘をお楽しみください。第8話では、ライバルである香坂と藤倉の対決、友情も描いています」

 緊迫したシーンの多いドラマだが、撮影現場では安田がムードメーカーとなり、最年少の岡田が、聞き上手役だそう。

警察組織の物語ですが、親会社と子会社、上司と部下の関係、出世争いなどは、どこの会社にも起きることだと思います。これからご覧になっても、人間ドラマは十分、お楽しみいただけます。香坂の生きざまから、翌日は家事や職場で頑張ろう、と思っていただければ。最後は、スカッとしていただけるような話にしたいと思っています