ものすごい美人なわけでもなく、スタイルも普通なのに、いつも異性からチヤホヤされる女性っていますよね。こういった美人ではないけれど「美人オーラ」をまとっている女性というのは、「しぐさが美しい」と指摘するのは、ポージングディレクターの中井信之さん。

 これまで芸能人の卵を5000人以上、磨き上げ中井さんは、「若さや顔立ちに関係なく、しぐさを変えるだけで“いい女”度がアップ。周りに好印象を与えると人間関係が好転し、ハッピーなことが増えます」とアドバイス。

「私は女優やタレントを目指す女性たちにポージングを教えてきましたが、“しぐさ”による印象がオーディションの合否を決定することがわかりました。美しいしぐさの基本とは、H(ひねる)、K(重ねる)、K(傾ける)です。

 ひねることはセクシーな印象を与え、重ねることで上品さを演出、傾けることでやわらかさや可愛らしさを作ることができます。ミロのビーナスやモナリザなどもこの“HKKの法則”が使われていて、世界共通の美しいしぐさと言えるでしょう」

 大ブレイク中の芸人・ブルゾンちえみさんは、「キャリアウーマン」ネタの中で、何度も髪をかきあげますが、「髪しぐさ」は女性らしさをアピールするもの。短い髪でも髪を触ることで、セクシーな雰囲気を漂わせています。また、ひねる、重ねる、傾けるの“HKKの法則”もところどころに取り入れられていて、まさに神ワザの“モテしぐさ”で“いい女”を自然に演じていることがわかります。

 一方で、メイクや服装に力を入れていても、気づかぬうちにやっている“おブスしぐさ”で、あなたの印象は一気にマイナスに。

 例えば、スマホが普及し、猫背で下を向いて打つ人が増えていますが、これはどう見ても“おブスしぐさ”

「猫背は老けて見えますし、うなだれた感じで顔も見えません。でも、スマホを顔の高さまで持ち上げると“モテしぐさ”になります。また、座っているときや歩いているときに、足やわきがあいていると“おばさん”感が……。わきは締め、足は“重ねる”を意識しましょう」

 食事のときのしぐさで印象を下げてしまう人も多いそう。

口の中にたくさん食べ物を詰め込んでしゃべるなど、相手が不快に感じてしまう食べ方をしていませんか。きれいに食べることは、相手と良好なコミュニケーションをとるためにも必要です」

 さらに、自分のイメージに合ってないしぐさをするのも不自然でNG。

「ナチュラルなタイプの人が、セクシーなしぐさをしても違和感があり、魅力的には見えません。無理してしぐさを作っても、相手の心を動かすことはできないのです。座り方、歩き方、食事といった基本的な美しいしぐさを身につけるだけで十分、美人オーラを発揮できるので、今回紹介している“おブスしぐさ”をなくすようにしてみてください」

<おブスに見えるしぐさとは?>
・猫背や前かがみの姿勢になっている
・足やわきがあき、くっついていない
・口の中に食べ物をたくさん詰め込んで食べる
・自分のキャラに合ってないしぐさをする

 というわけで、中井さんに、やってしまいがちな“おブスしぐさ”を今すぐ改める方法を教えてもらいました。

これが「おブスしぐさ」だ!

(左)がに股弁慶(右)ひざパカ座り イラスト/柏屋コッコ

だらしない印象を与える「ひざパカ座り」

 座っているときにひざが開いているだけで、だらしない印象になります。印象を決めるのは脚で、いくら美脚タイツをはいていても、脚の隙間が見えると全部ブスに見えます。また、ソファの真ん中にどっかり座りこむのも、遠慮のないおっさん感が出てしまうのでNG。

【対策】 ひざやふくらはぎはもちろん、遠くに流した足のかかとにもう片方の土踏まずを重ねることでエレガント&セクシーに見えます。上半身はリラックスさせて、ソファではお尻をどちらか左右の座面の角に押しつけ、身体全体を傾けて座りましょう。ゆるりとした色気が漂います。

わきが開いている「がに股弁慶」

 立っているとき、足先が外に開いてがに股になり、わきがパッカンと開いて、両腕が外に広がっていませんか。両足に重心をかけると野暮ったくなり、わきを開くと安っぽい女に見えます。また、わきが開いているとゴリラのようで、見た目の印象は3キロ増しに。

【対策】 立ち姿で大切なのは重心。片足をうしろに引き、両脚が1本になるように重ねたら、うしろ足に9:1の割合で大きく重心をかけます。すると、背筋がすっと伸び、品格ある直線を作ることができます。この“Iライン立ち”で第一印象が「美人」になるでしょう。

(左)おばはんもち(右)やじろべえウォーク イラスト/柏屋コッコ

横揺れ&腕振りの「やじろべえウォーク」

 歩くときは、猫背&前かがみの姿勢で重心が前にいきがち。さらに、わきをあけて、手を横に振りだし、足をがに股にして、左右に広がるように歩くのは間違いなく“ブス歩き”です。身体全体がやじろべえのように左右に揺れ、腕を振るほどゴリラのように……。

【対策】 両足をそろえてまっすぐに立ち、片足を靴の長さの半分くらいうしろに引きます。そしてモアイ像のように重心をうしろに傾け、あごを引いて正面を見ます。この基本姿勢から、腰から押されるように1歩を踏みだし、ひざ同士は離さない「ニーキッス」で歩くと美しい。

可愛いバッグも台無しの「おばはんもち」

 バッグは買い物カゴのように手に下げるスタイルに要注意。腕を外に向けていると、可愛いバッグもスーパーの買い物カゴのよう。さらに、握りこぶしを作っていると、強そうな“おばはん”のイメージに。わきをあけて重そうに持っているのも、疲れた印象を与えます。

【対策】 わきを締め、バッグや腕を胴体に重ねるのがポイント。腕を身体に重ねることで、華奢見せ効果も期待できます。ショルダーバッグは、ストラップを親指と人さし指でつまむように押さえると上品。トートバッグは手の甲が前に来るように持つとチャーミング。

(左)羽ばたき脱ぎ(右)うなだれ打ち イラスト/柏屋コッコ

猫背&巻き肩になるスマホの「うなだれ打ち」

 スマホを打つときは顔を下げ、猫背で、さらには両肩が前に巻き込まれた「スマホ巻き肩」の状態になりがち。見た目がおブスなだけでなく、肩こりや垂れ乳の原因になり、内臓が圧迫されて太りやすくなるとか。指をまっすぐにしてベタベタ打つのも野暮ったい印象を与えます。

【対策】 スマホは顔の高さに持ち、肩はなるべくうしろに引き、顔は口角を上げます。そして人さし指か中指をくの字に曲げて、軽くつつくように打つのがスマート。見るとき空いた手はスマホを持つ手のひじに重ねると、より上品なイメージに。見終わったら肩甲骨まわりのストレッチも忘れずに。

バサッと脱いでグチャッと置く「羽ばたき脱ぎ」

「脱ぐ」は究極のセクシーしぐさ。バサバサと動かしながら一気に脱いだり、袖を地面に引きずったりする、雑な脱ぎ方をすると、色気がなく人間性も雑な人と思われることに。脱いだ上着をそのへんに適当に置くのもNG。部屋も汚そうなイメージを与えてしまいます。

【対策】 上着を脱ぐときのポイントは袖。右手のうしろで両方の袖を持ち、左腕が抜けたら、腕を前にもってきて、袖をそろえて左手に持ち替えます。右腕も抜けるので、右手で襟を持ち、左腕で二つ折りにして抱えるというのが美しい脱ぎ方。育ちのよさをアピールできます。

(左)手拍子笑い(右)リス食い イラスト/柏屋コッコ

食事中に出現したザンネンアニマル「リス食い」

 食べ物を口の中に詰めこみすぎる「リス食い」や、ひじが横に出すぎて前のめりに食べる姿勢はガツガツしている印象で、食事相手が萎えてしまいます。食事中のマシンガントークや、相手に合わせずに先にモリモリ食べるのも「おブスしぐさ」。次の誘いがなくなります。

【対策】 わきは軽く締め、テーブルの縁は一の腕の真ん中に。ナイフやフォークは短くもたないようにしましょう。ときどき食べるのをやめて、にっこり微笑み、相手の話に聞き入るのも好印象。背筋を伸ばしてゆっくり食べ、さりげなく“育ちのよさ”をアピールします。

デカい声でオーバーアクション「手拍子笑い」

 デカい声でいつまでも笑う、「ウケる~」と言いながら手をパンパン叩く、足をバタバタさせる、隣に抱きつく、といったオーバーアクションな笑いは下品。芸人用語を使うのも、男性からは引かれます。逆に無表情すぎるのも、近寄りがたい印象を与えてNG。

【対策】 ちょっと豪快に笑うくらいのほうが、「俺の話にウケてくれている」と男性には喜ばれます。お腹をかかえて上半身を前に傾け、「アッハーハー」と前後に身体を揺らして華やかに笑いましょう。このとき、わきは締めておくこと。人の笑顔は周りを幸せにします。

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<教えてくれたひと>
中井信之さん◎ポージングディレクター。姿勢で雰囲気を作る「HKKメソッド」を考案し、5000人以上のタレント候補者に指導。国際イメージコンサルタントの資格を持ち、「表情・話し方・動作」で個性のブランディングを行っている。