海外遠征選手は味噌汁が恋しい?!
海外遠征に長く出かける選手の中には、海外での食事がどうしても合わず、疲れがたまる方がいます。そんなときに一役買うのが味噌汁です。食事の中に味噌汁があるだけでもホッとしますよね?
多くの選手がインスタントの味噌汁を持って出かけているそうです。「味噌汁というよりだしが恋しいんだよね」といわれると、なるほどと思いますよね。
だしの主成分は、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸
だしにはうま味成分が含まれており、代表的なものにアミノ酸の一種であるグルタミン酸、核酸系物質のイノシン酸、グアニル酸があります。グルタミン酸は魚貝類や昆布、きのこ類など比較的多くの天然の食材に多く含まれ、特に昆布には非常に多く含まれています。
イノシン酸は肉や魚に多く含まれ、かつお節や煮干しに多く含まれています。グアニル酸はシイタケに多く含まれています。これらは混合することによりうま味の相乗効果が起こり、さらにうまみを強く感じます。
日本料理の定番である昆布とかつおのだしや、ラーメンのスープもとんこつや魚貝などをミックスしてとったものが多いです。
うま味成分はおいしさだけでなく疲労回復にも
うま味成分はおいしさを増すだけでなく疲労回復に役立つ成分でもあります。グルタミン酸は胃の動きを活発にし、腸ではエネルギー源として消化吸収促したり、腸粘膜の保護や細菌などが体内に入るのを防いだりしています。
胃の中ではセロトニンの分泌を促し、副交感神経の働きを活発にさせることでリラックス効果も高まります。だしを飲むとなんとなくほっとする、胃が落ち着くというのは、なじみのある味ということだけでなく、科学的にも根拠があるのです。
うまみ成分でガンの発症リスクも低減
最近オランダで行われた研究でBMI(Body Mass Indexの略 健康診断の検査項目の1つ)が25以下の肥満でない人は、食事からのグルタミン酸の摂取量が1%増えるごとに大腸がんを発症するリスクが、42%低下することがわかりました。日本人の3・5人に1人ががんで亡くなる時代 ・なかでもがんの部位別罹患率は大腸がんが1位と非常に多いことから、だしを飲むことで少しでもリスクを減らしたいものですね。
うまみ成分は新陳代謝を助ける働きも
イノシン酸やグアニル酸などの核酸は細胞の新陳代謝を助ける働きがあります。かつお節にはイノシン酸だけでなく、アンセリン、カルノシンという疲労回復に役立つ成分も含まれています。たんぱく質の多いかつお節は、アミノ酸の一種であるトリプトファンを含み、体内でセロトニンの材料となりますから、リラックス効果も高いのです。
味噌汁はコンディションを整える機能性飲料
発酵食品というと、みそ、しょうゆ、ヨーグルトなどを思い浮かべる人が多いと思いますが、かつお節も、かび付けをし、発酵させてつくられるので、発酵食品になります。発酵食品は腸内環境を整え、免疫機能を活発にします。
つまり、味噌汁はだしと味噌の相乗効果で胃腸の働きを整え、リラックスをすることができる日本人古来の機能性飲料だったのです!
アスリートが海外遠征時に持ち歩くのはコンディショニングの一環だということです。グルタミン酸は、昆布以外にもお茶、のり、トマト、白菜、チーズなどにも含まれます。海外出張や旅行時にだし汁が飲めないときには、お茶や、トマトジュースを飲む、チーズを食べるようにしてもよいでしょう。
他、だしは水分補給の役割もあります。体内には約60%の水分があり、不足すると疲労の原因になります。が、そば、うどんのだしは塩分が、ラーメンのだしは脂肪が多く含まれるため、全部飲み干さず、残すようにして、お水をしっかりとっておくとよいと思います。塩分のとりすぎはむくみ、脂肪のとりすぎはエネルギーオーバーの原因になるので注意しましょう。