会社勤めの人にとっては、待ちに待ったボーナスの時期です。
日頃、倹約に努めていれば、どうしても財布のヒモはゆるくなりがち。海外旅行に出かけたり、ブランド物を買ったり、好きなアイドルグループの追っかけをしたりと、その使い道はさまざまでしょう。
とはいえ、考えなしにお金を使ってしまうのは、あまり感心できることではありません。少しだけと思いつつも、気づけばかなりの額を使っていて、いつしかお金のために働き続ける、“お金の奴隷”のような状態になってしまいます。
では、お金に困らないように生きていくためには、いったいどうすればいいのでしょうか? やはりボーナス含めて、すべて貯蓄するべきなのでしょうか?
私はこれまで数々の経営者、それも年収で億を稼ぐような人々と会ってきましたが、彼らを見てきて思うのは、やはり「お金を計画的に使っている」ということです。
臨時収入が入ったからと、行き当たりばったりで使わず、先々を見据えて、使うときは使う、使わないときは徹底して使わない、ということを実践しています。
お金の使い方は、「〇〇」に似る
私は富裕層専門のファイナンシャルプランナーとして、いまも各地でお金に関する講演を行っています。そしてこれまでの経験から、気づいたことがあります。
それは、お金の使い方というのは、「母親」に似るということです。小さい頃からずっとそばにいる身近な存在だからこそ、強く影響を受けてしまうのでしょう。
私がインタビューをした女性もその一人でした。
彼女は40代の専業主婦で、旦那さんは自衛隊員、世帯年収が500万円ほど。決して裕福とはいえません。にもかかわらず、貯蓄は2,000万円あるといいます。よくよく話を聞くと、彼女の父親は中小零細企業の会社員で、事あるごとに母親に「いつ会社が潰れるかわからないから貯金しておけ」と繰り返していたと言います。
こうした幼少期の経験が、彼女の中の「節約意識」を強くさせたのでしょう。
先日出版した著書『給料が上がらなくても、お金が確実に増える方法を教えてもらいました。』(あさ出版)でも触れていますが、私は金銭感覚を身につけて、お金を増やしたければ、まず「現状分析すること」をオススメしています。
自分がいったい何にお金を使っているのか、10年後にどうしたいのか、を考えることで、何のためにお金を貯めるのかがハッキリするからです。「家族のため」「将来のため」「夢のため」という明確な目標があったほうが、ムダを削って、上手にお金を使うことができます。
収入はコントロールできない。でも、支出はコントロールできる
お金が貯まるかどうかというのは、収入の多い少ないで決まるわけではありません。自己管理をしてムダをなくせる努力ができるかどうか、によるのです。
たとえば、お金が貯まらない人というのは、えてして家賃や食費、スマホ代といった毎月絶対にかかる固定費が高いという傾向があります。見栄が邪魔して、ついついお金の支出につながっている人もいるかもしれません。
ですが、こうした支出を見直すだけで毎月の家計は変わってくるでしょう。
収入の4分の1を貯蓄に回す「先取り貯蓄」や、「資産三分法」といった方法も活用すれば、お金は確実に増えていくはずです。
会社員の多くは収入をコントロールできません。でも、支出だったらコントールできます。お金に困らない暮らしをするためにも、まず一度、自分が何のためにお金を貯めるのか、将来どのようにありたいか、を考えてみてはいかがでしょうか。
世間体を取り繕うより、お金の心配をしないですむことのほうが大切である──。
お金に困らないためには、こうしたことを肝に銘じておく必要があるのです。
江上 治(えがみ・おさむ)◎1億円倶楽部 主幹。株式会社オフィシャルインテグレート代表取締役。1967年、熊本県天草市生まれ。有名スポーツ選手から経営者まで年収1億円を超えるクライアントを50名以上抱える富裕層専門のカリスマ・ファイナンシャル・プランナー。サラリーマン時代には大手損保会社、外資系保険会社の代理店支援営業において、新規開拓分野にて全国1位を4回受賞し、最短・最年少でマネージャーに昇格を果たす。自身が所属した組織もすべて全国トップの成果を挙げる。起業後は、保険営業を中心としたFP事務所を設立。人脈ゼロ・資金ゼロから1,000名を超える顧客を開拓し、これまで新規に獲得した保険料売上は600億円超に達する。指導した部下は全国7万人のセールスの中でベスト5に2回入賞。中小企業のコンサル業務を展開し、サポートした企業の売上が1年で8倍増になるほどの成果を挙げている。著書に『年収1億円思考』『運命転換思考 一生かかっても身につけたい5つの「働き方」改革』(ともに経済界)、『プロフェッショナル ミリオネア― 年収1億を生む60の黄金則』(プレジデント)など多数。