田村さんも寂しさを感じることはある。でも、そのときは本が助けてくれる。
「私は本が大好き。本の中にはお友達がぎっしり住んでいて“キミはひとりぼっちじゃないよ”ってささやいてくれる。作者が渾身の力を込めて書いた作品ですから、ヒロインには力がある。赤毛のアンも長靴下のピッピも、タダモノじゃありません。寂しいからって現実のお友達を探そうとするより、本棚のお気に入りのひとりを見つけるほうがずっと楽しいですよ」
タブレットやスマホで本を読む人が増えてきたが、こよなく好むのは、紙の本の手触り。
「本だけでなくノートもお友達。転校生だった小学生のころ、お友達がいるのかいないのか、わからない状態になったの。だから秘密のノートを作り、そこに何でも書き込みました。
小学校4年生から絵日記を描き続けているの。楽しかったことを読み返したら楽しくなるし、つらかったことはよく乗り越えた、よかったなぁってうれしくなって励まされるの。日記がお友達なんて、私ってよっぽど孤独な人ね(笑)」
日記と同じく、メモ帳も「お友達」。日課のようにとっていると話す。
「日記帳は家でお留守番をして、メモ帳は持ち歩きます。メモ帳には、お気に入りの言葉や気がついたことは何でも書きます」
自身を「メモ魔」と言う田村さんのメモ帳は、文字やイラストでびっしりだ。
「朝から夜までメモ帳とおしゃべりしているから、結構忙しいの。こんなこと言うと、ついにボケたかって思われるかもしれないけど(笑)、おばあさんは何を言ってもやってもいいのよ」
孤独も年齢もポジティブにとらえている。そのせいか、少女のころからおばあさんは憧れの存在だった。
「おばあさんって男性でも女性でもなく、“第3の女”って感じでしょ? 誰に話しかけてもいいし、何を着てもいいし、オールマイティーのフリーパスポートをもらった感じ」
まるでおとぎの国から飛び出してきたようなファッションの田村さん。自身が描くイラストの「セツコワールド」そのもの。
「でも私、あまりモノは買わないの。小さいころから、母親に“節約のセツコ”って言われたくらいモノを欲しがらなかった。モノを買うよりもリメークなんかで工夫したほうが楽しいわよ」