痛みが続くときは乳房の見た目をチェック
40代以降、乳房痛で心配になるのは乳がんだ。乳がんは世界中で、女性が罹患(りかん)するがんの1位。わが国では年間9万7千人が乳がんにかかり、約1万5千人が死亡している。
30代から増加傾向にあり、40代後半から50代前半がピーク。60代からは安心かというと、「60代前半〜70代後半にかけても乳がんに罹患するピークがあります」と榊原先生は話す。
シニア世代も油断は禁物だ。そこで気になる乳がんと痛みは、どのような関係があるのだろうか。
「乳がんは初期の段階では痛みを感じることはほとんどありません。しかし、しこりが大きい、リンパ節転移があるなどステージが進むと痛みを感じることも。がんによる痛みは患者さんによって異なるので、乳腺外科医はその声に耳を傾け、正確な診断につなげることが重要です」
しかも、痛みが強く出る場合がまれにあるという。
「リンパ管にがん細胞がつまってしまう『腫瘍塞栓(しゅようそくせん)』という状態になると、リンパの流れが滞り、乳房が赤く腫れあがって痛みが出ることも」
痛みの出方はさまざまで、些細でも続いている場合は軽視はできない。もうひとつのポイントが“見た目”。
「乳がんの場合、痛みよりも、しこり、ひきつれといった所見がよくみられます」
ひきつれやへこみ、しこり、腫れ、赤み、分泌物をチェック。乳房の大きさや形の変化があれば、検査しておきたい。