“ホンモノ”の飲食を提供
今月、開店2周年を迎える、ぬいぐるみだけが来店できるカフェ『やわらかん’s cafe』(東京都)は、ぬいぐるみに本格的なコーヒーやスイーツを出してくれる心躍るカフェ。残念ながら、人間はお断り。
「月1~2回の開催で1回6名様が定員となっています。企画を出すと1~2分で完売してしまいます」と、オーナーの鈴木公子さん。
ぬいぐるみたちは、宅配便の営業所に集合し、鈴木さんの案内でカフェへ向かう。そこで、ぬいぐるみのスタッフ、カレイちゃん、ヘビさん、サルさんが手厚いサービスをしてくれるのだ。なんと、食べ物や飲み物はすべてホンモノ。鈴木さんが丁寧に小さく手作りしているが、
「サルさんは優秀なバリスタで、こだわりのコーヒー豆を自家焙煎(ばいせん)しています」
コーヒーを出すときに蘊蓄(うんちく)も語ってくれるという。このカフェの様子は、フェイスブックで中継され、アカウントがなくてもアクセスでき500人以上が見ているという。猫カフェや健康診断など特別企画も行っているが、告知すると注文が殺到し、カートの確定ボタンを押す前に売り切れてしまうこともある。
「ぬいぐるみが好きな人は、頑張り屋さんが多いので、カフェの様子を見て、心を楽にしていただけたらと思っています」(鈴木さん)
開催を増やしてほしいというニーズもあるが、大切にお迎えするために、現在は回数を制限しているという。
ぬいぐるみを通して持ち主に感動を届ける
ぬいぐるみ向けサービスの先駆者的存在は、2010年にスタートした、ぬいぐるみ専門の旅行代理店『ウナギトラベル』(東京都)。国内だけでなく、海外企画もあり、旅行の様子をフェイスブックで中継する。レギュラー企画はリピーターを中心に毎回、完売。海外などの特別企画は、1分で売り切れるという。
「週1~2回のペースで、定員6名前後のツアーを行っています。欧米を中心に、海外からやってくるお客様もいらっしゃいます」
と代表の東園絵さん。人気の理由は、ただ旅行をして写真を撮るのではなく映画やドラマのようにストーリーを楽しめるところ。
「事前にアンケートをとり、お客様それぞれの性格に合ったボケやツッコミを演出し、ストーリーを楽しんでいただいています」(東さん)
ぐるみぃを喜ばせるだけが目的ではなく、ぬいぐるみを通して感動を届けるサービスを行っているという。病気、障がい、高齢などのため本人が旅行できず、ぬいぐるみに代行してもらうという目的の人もいるのだ。
「解釈は人それぞれですが、決して幼稚なものではなく、旅というエンターテイメントを通して、新しい想像力をかきたてるクリエイティブなものだと思っています」(東さん)
広がりをみせる、ぬいぐるみ向けサービス。ぐるみぃの気持ちを理解した温かい世界が展開中なのだ☆ 全国のぐるみぃさんたち、ぜひ、利用してみて♪
取材・文/山崎ますみ
<DATA>
◎ぬいぐるみ健康法人 もふもふ会 ぬいぐるみ病院(R)
http://nuigurumi-hospital.jp/
◎やわらかん’s cafe
http://nuigurumicafe.com/
※10月7日(土)やわらかん's cafe in 原宿~ぬいぐるみたちとHALLOWEEN パーティ~ ※事前予約制 詳細はHPにて
◎ウナギトラベル
http://unagi-travel.com/