「助かってよかった。一緒に助けた女性は“心臓がドクン、ドクンと脈打っていたから丈夫な男の子だよ”と言っていた。母親にどんな事情があったのかわかりません。でも、埋めることはない。育てられないならば、人目につくように駅前や交番の前や、うちの前に置いてもよかった。僕には孫が5人いて、彼は6人目の孫のようなもの。大変な人生のスタートだったけれど、生命力が強いからたくましく育つだろう。きっと素晴らしい人生が待っている」(保延さん)
男児が埋められていた穴の深さは約14センチで、長さ約40センチ、幅約30センチ。タオルの上に約2センチの土がかけられていた。
なぜ、周囲は妊娠に気づかなかったのか。男児の父親はいったい誰なのか。
3歳の娘を持つシングルマザー
勤務先の運送会社幹部は「相談してくれなかったのが残念だ」と話す。
「本当に誰ひとり妊娠に気づかなかった。父親の心当たりもありません。彼女(小松容疑者)は遅刻、無断欠勤はなく仕事はきちっとしていたけれど、頑固で難しい性格でした。ミスをしたとき“私はしていません”とウソを言うことがあった。同僚運転手と個人的な付き合いは全くなかったと思う」(同幹部)
小松容疑者は宮城県出身。地元の中・高を卒業後、専門学校でトリマー(犬の美容師)を目指したが、実際にはその道に進まず、職を転々。どれも長続きしなかった。約1年半前、現在の仕事に就いた。遺棄現場から徒歩約10分の賃貸マンションで暮らす。
近所の女性は、「3歳の娘さんを持つシングルマザー。ただ、実母とその内縁の夫と同居していて、収入源は彼女の給与だけみたい。地味な人だけど、ときどき娘さんを怒鳴りつける短気なところがあった」と話す。
推定収入は月30万円以上。自宅賃料は約8万~9万円とみられ、母娘2人ならば家計のやりくりができる稼ぎ。しかし、一家4人を支えるのは厳しかったかもしれない。
別の近隣女性は、「娘さんの手を引いて一緒に買い物をするなど、しっかり母親をしていたと思う。100均ショップで“これ欲しい”とねだる娘さんに“1つだけよ”と言っていた。お腹の子を本気で殺そうと思っていたなら、妊娠中にわざと転ぶこともできたはず。殺してから埋めたわけでもないし」と、容疑者に同情する。
男児の父親の責任も重い。