「いろいろな方が撮影を終え、現場から去っていくのは寂しいですね。特に小野政次を演じた(高橋)一生さんはご一緒していた期間が長かったので、アップされた日は“ああ、もう明日からいないんだ”と、思ってしまったり。ご本人もちょっと寂しそうでしたし、ハードな撮影をともに乗り越えてきたので、役者同士の絆みたいなものは培えたかなと思っています」
“政次ロス”をこう語るのは、大河ドラマ『おんな城主直虎』で直虎を演じる柴咲コウ(36)。手にした槍(やり)で政次を刺すという、衝撃的な別れの舞台裏をこう語った。クランクアップも近づく中、主演として現場を牽引(けんいん)してきた彼女に、撮影を振り返ってもらった。
「特に前半は、セリフを覚えるのと寝るためだけに家に帰る、というくらい撮影に集中していました。私自身、飽き性だと思っているところがあるので、このモチベーションがどこまで続くのか不安だったのですが(笑)、台本も面白いし、スタッフや共演者にも恵まれて、楽しくてしょうがなかったです」
第36回(9月10日)で、出家の身から還俗して“おとわ”に戻った直虎。城主から農婦へと立場も変わった。
「城主をやっているときは、充実しているけどすべてがうまくいってるわけではなくて。永遠に幸せになれない女なんじゃないか、と思うくらいでした(笑)。でも、周りに助けられながら、少しずつですが、じっくりと成長させてもらっていたんだと思っています」
農婦の扮装は安心感満載だという。
「私と直虎さんの似ている部分は、リーダーシップをとれる人ではないということだと思っています。だから城主という立場から下りてからは、演じている私も何か気楽で(笑)。農婦の扮装は土ぼこりがいっぱいついて、手ぬぐいも汚れているけど、私にとってはすごく安心感があって、ニュートラルでいられるんです」
これからは世代が変わり、徳川家の家臣、松下家の養子となった虎松(菅田将暉)らが物語を引っ張っていく。
「引き継ぎというか、直虎さんが生きてきたことでまいた種が、次世代にどんな影響を与えるかきっちり表現していきたいですね。ただ世代交代を見ていると、第50話の最終回まで、直虎さんが生きているかちょっと心配になってきているのですが(笑)、世代交代の波にのまれないよう、頑張りたいと思います」