「うちの家族が言っていましたが、事件のあった家からは、時々煙が上がっているのを見たことがあるそうです。猫を焼いていた煙なのか……」
表面はまじめな税理士、ひと皮むけば残忍な動物虐待者。
事件の兆候のような出来事が大矢被告の個人事務所があるさいたま市見沼区周辺で起こっていた。近隣住民は話す。
「夏ごろでしたか、野良猫が毒を飲まされて死んだんです。近所の人が飼う猫も行方不明になったり、近くの団地でも野良猫の数が、はっきりわかる感じで減っていました」
今から10年ほど前、大矢被告が川越税務署に勤務していたころに身勝手なトラブルを起こしたことがあるという。
当時を知る地元商工会の担当者が明かす。
被告を直撃
「納税者の留守に勝手に敷地内で税務調査をしていたそうです。それが発端でトラブルに発展。納税者から相談を受け、私たちが抗議活動をすると、その様子を勝手にケータイのカメラで撮影。結局、彼の上司が写真を消去しておさまりました。横柄というか高飛車な印象は、彼を知る人物の一致した見方でしたね」
大矢被告の横柄さは、逮捕後の供述に、如実だ。
「猫は糞尿が臭く、爪で壁などを傷つけるので、有害動物の駆除をしただけ。法律違反ではない」
と、トンデモない強弁を繰り返したという。反省の様子は、まったくない。
9月20日に保釈されたばかりの大矢被告を直撃した。
「違います、違います、従業員です」と他人のふりをし、なぜ猫を虐待したのですか?と質問をぶつけても、無言。事件の説明をすることもなくそのまま歩き続け、助けを求めるために、なんと交番に駆け込んだのだ。
猫は動物愛護法で定められている『愛護動物』にあたる。殺したり、傷つけた場合の罰則は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金になる。ペットはもちろん、野良猫も同様だ。
しかし猫の虐待、殺害事件で裁判になるケースはまれ。2016年、同様の事案が33件起訴されたが、29件が罰金刑を求めた略式起訴だった。