ベルーナ成長の裏側
最後に、『通販ビジネスの教科書』(東洋経済新報社)などの著書があるマーケティングプランナー・岩永洋平さんに、“ベルーナ成長の裏側”について解説してもらった。
「ディノス・セシールや千趣会などのカタログ通販業態は近年、ZOZOTOWN、AMAZON、楽天市場のネットモールの成長に押されている傾向があります。そのなかにあって『ベルーナ』は、成長を続けているカタログ通販会社です。なぜベルーナのビジネスは消費者を惹きつけるのでしょうか。
ひとつにはベルーナが埼玉県上尾市の会社だということが象徴的です。ファッションというと表参道や代官山から発信されるビジネスのように思えますが、『しまむら』に代表されるようなフォロワー層の膨大な需要があります。
一見すると泥臭いベルーナの商品・カタログの誌面は、実は計算しつくされたもの。ふつうの女性の生活感覚から決して離れずに、少しだけ新しいファッションを低価格で提案する楽しさにあふれています。例えば、多彩な柄がそろった今シーズンのチュニックも、すっきりしたシルエットに見える工夫がなされています。しかも、それが手ごろな値段で買える。何枚か買っておきたい気持ちにさせます。
また、意外なことにワインの通販でベルーナは日本一の企業です。ワインのある生活や便利な冷凍そうざい、忙しい看護師さんに特化したカタログ、大きいサイズ専門店など、豊富な切り口で消費者の需要を創造する、新しい暮らし方を提案している点もベルーナの魅力です」
ネット販売隆盛のなか、アナログのカタログならではの魅力と需要があることは、確かなようだ。