訪問介護従事者の体験

■「おチンチンの皮をめくって洗ってほしい」

 入浴介助を必要とする70代前半で、妻とふたり暮らしの男性利用者宅を訪問したところ、入浴の際に「おチンチンの皮をめくって洗ってほしい」と言われ、困ったが洗った。

 私自身も「入浴介助なのだから必要だ」と思うようにして、言われるままにしたが本人は気持ちよさそうで「あ~」と少し声も出していた。よく考えれば、その男性は片マヒで自分で陰部を洗えなくはない。

 違うヘルパーが入ったときに断ったら「こっちは金払ってんだ! 言うとおりにしろ! 仕事だろ!」と怒鳴られたらしい。また、その利用者に「やっぱ、かみさんじゃヘタで、あんたのほうがいい」と言われた。

■「天ぷら油の鍋に手を入れてみるか」

 利用者の息子(50歳代後半)は、話をするときに肩や背中に手を回してきて「話をしよう」と誘ってくる。誘いにのらずに利用者への援助を続けていると「天ぷら油の鍋に手を入れてみるか」と問い詰め、手を入れないと「ヘルパーとして一人前ではない」と言う。

 さらに、天ぷら鍋を身体の近くに持ってこられ、恐怖心をあおられた。

「ケアハラは、これまでに紹介した女性介護者だけの問題ではありません。男性も、女性の利用者からケアハラを受けることがあります。また、LGBTの方の事例もあると聞いています」(篠崎氏)

■「私のここ(股間)が火照っているから一緒に添い寝して」

 訪問中にひとりで入浴していた女性の利用者。その利用者は突然、浴室のドアを開け大きく股を開くと私を呼び「見たね。あなたは私のモノを見たんだから、あなたのも私に見せなさい!」と本気で言ってくる。

 その後、ベッドに行くと「私のここ(股間)が火照っているから一緒に添い寝して。あなたを幸せにしてあげる」と私を呼んで、布団をめくって、こちらへ来るようにとジェスチャーをした。

 女性の利用者による、女性の介護従事者へのケアハラのケースだ。

 このほかにも、利用者がケアハラとは意図せずにしたことが、サービス提供者にとってはハラスメントだったという事例もある。