これまでになかった新しい僕のスタイル
博士は21年前からブログの日記を、1日も休まずに続けている。
「芸能界で最長なんだけど、総ヒット数は松居一代の1日分に負けるというね(笑)。でも、ボクはそれ以前に小学生から日記を書き続けてきたんです。特に『浅草フランス座』で修業していたころは執拗(しつよう)に書いています。いま、その膨大な日記をテキスト化してます。そうすると、ボクの人生のうち約50年分が単語検索できて、自分でも忘れていた事実が浮かび上がる。それは、いまのボクへの“傍点”でもあるし、日々の出来事に付箋を貼り続けていることでもあり、当然、将来は物語として回収できます」
ほかにも、気になった人々の年表づくりを続けている。ボーッとして過ごすことがいちばん苦手と博士は言う。
「うつになって文章を書けなくなった時期もあり、最初は引退も考えました。この本は、うつ脱出本としても、いま苦しんでいる人にも読んでほしい。もともとボクは子どものころから死について考える性格で、師匠に惹かれたのも、死と戯れている表現者だからだと思う。この本でもマキタスポーツの父親の葬式を死と生の象徴として書いています」
マキタスポーツのほか、三又又三、武井壮、寺門ジモンら博士好みの過剰な芸人が出てくるのも読みどころだ。
「たけしさんやタモリさんのようなきらびやかな星ばかりじゃなくて、“鈍い星”があるから芸能界は面白い(笑)。なので、この本も、闇と光が相互に照らしあうような構成にしています」