事件当日、知子さんは純一さんに関係修復をあきらめてほしいという目的から、2つの内容が書かれたメールを送っていました。
1つは、今もA氏と連絡を取り合っていること。2つ目は、過去にA氏の子を堕胎した経験があること。このメールを送ると同時に、彼女は彼を着信拒否し、関係の強制終了を図ります。
驚いた純一さんは事実確認をしようとしますが、連絡がつかない。混乱した結果、最終手段として彼女の自宅へと向かい、そして悲劇が起きてしまうのです。
4時間にも及ぶ口論の結末としての殺傷
深夜の彼女宅。彼は家の前でドアをたたいたり大声をあげたりしたのち、部屋に上がり込みます。コトの真相を問い詰めますが、別れたい気持ちが強い彼女は「別れてほしい、帰ってくれ」の一点張りです。
彼は処理しきれない気持ちを言葉にする際「今まであげたものを返せ」と彼女に迫りますが、奪ったネックレスなどを目の前で引きちぎるなどして、さらに状況を複雑にします。
その後いったんは家をあとにした彼でしたが、やはり納得がいかなかったようで、再び彼女の部屋へと戻り、「あげた物を渡されても仕方ないし、なんで別れなきゃダメなのか?」と、再び別れる別れないの口論が始まることに。
そこからA氏に電話しろと要求する彼と、とにかくこの場を終わらせ別れたい彼女のぶつかり合いは続きます。
彼はベッドに知子さんを押さえつけたり携帯を奪ったりし、知子さんは「刺すぞ!」と包丁を持ち出し、またしても威嚇行動へと発展。このときA氏には「この浮気野郎」と男の声で罵倒する電話があり、その後ろから彼女の「やめろ!」という声が聞こえてきたそうです。
そして訪問から4時間後、純一さんが知子さんの携帯を奪い、背を向けて部屋を出ようとしたところで、知子さんはとっさに威嚇に使った包丁で男の首を背後から刺します。
刺した当時の心境は「『刺そう』と思ったというより、気づいたら刺していた」と、頭が真っ白だったと、言葉少なく語ります。