「よく嘘がつけるな」
だまされた私も悪いですが、国民運動をしないといけない。だまされた悔しさ、憤りが原動力。嘘をいう勢力に立ち向かっていかなければならない。
震災後、原発事故調査委員会が作られました。畑村洋太郎委員長は「事故というのは、起こりうるものは起きる。起こりえないと思っても起こる」と所感を述べています。国会でも事故調査委員会ができましたね、全会一致で。委員長は黒川清氏。彼は「あの事故は自然災害ではない。人災だ」と言ったんです。報告書を読めば、原発を基幹電源として維持するとは言えない。
事故の根源的な問題はね、経産省や資源エネルギー庁などの規制する側が、規制される側である原発会社の論理に飲み込まれたということにある。本当に「安全第一」だったのか。原発企業や関連会社の「経営第一」だったんじゃないか。
それに、原発を動かせば核のゴミが出る。いまは中間貯蔵しているけれど、いずれは最終処分しないといけない。世界で唯一、フィンランドにしかない最終処分場でも、4基ある原発の2基分しかない。日本は54基も建てておいて、どうするつもりなのか。
日本の原発はね、過疎地で、沿岸部に作られてきた。周辺自治体は財源が乏しいから、国が補助金や交付金を出す。この財源は“原発コスト”として入っていないんですよ。また今回の原発事故では、賠償金も、除染費用も、廃炉費用も全然足りない。そのため、東京電力は国からお金を借りています。これらもコストに入っていない。それで「コストが安い」とよく嘘がつけるな。嘘を言い続けていると思うと、あきれちゃうね。
講演をしていると、推進論者から「自然エネルギーは全電源の2%。それに頼ると停電しちゃいます」と言われます。震災後、1基も稼働してない時期があった。それでも日本中で電力不足で停電したのは1日もない。すでに原発ゼロでやっていけることを証明しているようなものです。
ようやくはっきりと「原発ゼロ」を訴える政党ができました。自民党も総理の考えが変われば、あっという間に変わります。党内ではまだ原発推進が支持されているから、総理も言いにくいのでしょうね。でも、国民の多数が原発ゼロを支持している。多数意見を無視する政党は、政権は取れない。原発よりも、自然エネルギーに頼るほうがいいと私は確信しています。