保護者はみんな宮川君の味方

 日大のホームページによれば、同大は日本全国に20以上の付属高校(経営母体は一律ではない)を抱えている。アメフト部がある高校も多く、そこから優秀な選手が、日大アメフト部に入部する仕組みだ。巨大な“アメフトピラミッド”。その頂点に君臨していたのが、内田前監督。

「日大の付属高校にも、内田監督の息がかかった監督やコーチがいるんです。日大アメフト部を強くするために、高校から育てておきたいんですよ。宮川君も付属出身です」

 そう語る付属高校関係者は、今回の騒動の余波を次のように明かす。

「日大アメフト部がどうなるかわからないから、他大学アメフト部への推薦状を書いてほしいって、高校の監督にお願いしたんだけど、内田監督の許可がないとダメだとかでもらえないんですよ。これには多くの保護者が大激怒。担任の先生にも相談したんですけど、私が独断で書いたりするとクビになるからって、取り合ってくれませんでした。

 今はようやく緊急保護者会も開いて、推薦状も書いてもらいましたけど、トライアウト(スポーツ試験)が間に合うのかどうか……」

 付属高校に通うアメフト部の生徒と、宮川選手はさほど年齢差はないため、

「保護者はみんな宮川君の味方ですよ。宮川君に責任をなすりつけて、いい大人が責任を逃れようとしているなんて何考えているんですかね。宮川君がかわいそうですよ。宮川君が息子とダブってみえます。私たちが応援しないといけないですね」(前出・関係者)

多くの報道陣が詰めかける中、練習する日大部員たち=24日、都内のアメフト部専用グラウンドにて
多くの報道陣が詰めかける中、練習する日大部員たち=24日、都内のアメフト部専用グラウンドにて
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 単独謝罪会見では不安そうな表情で宮川選手は、

「この先、アメリカンフットボールをやるつもりもありません」と述べている。

 日大アメフト部関係筋によると、すでに練習をボイコットしている選手もいる。

 学生日本代表にも選抜されるほどの若者をつぶした、老監督とイエスマンのコーチ。前出の弁護士・船山さんは、今後問われる3人の罪を次のように見通す。

「宮川君に命令した2人が現場にいて、やるかやらないか見張っている。これを実行共同正犯といいます。みんなが同じ立場にいると考えられます。今回は傷害罪ですが、いちばん重くて懲役15年。ただし罪の重さは監督、コーチ、選手の順番になると思います」

 日大は2019年、創立130年の記念イヤーを迎える。キャッチフレーズは“130年の輝きと共に、未来を創る”。だが、輝きは色あせた。古い感覚の人たちが大きな声を張り上げる大学が、不死鳥(フェニックス=日大チーム名)のようによみがえることはなさそうだ。