終生飼養のほか、里親を見つけて譲渡することも忘れていない。
しかし、譲渡には危険性もあると指摘する。
「ネットで里親を募集するのが盛んですが、ネットには闇もあるんです。それまでに打ったワクチン代など1万~2万円はもらうのが普通ですがそれだけではダメ。例えば、相手が動物虐待者とか、動物実験をするために引き取ることだってあるわけです。
1万~2万円だって自分で育てるよりは安いですからね。それを防ぐためにも厳密に面接したり、お宅を訪問しています」
すべては動物の幸せのために
自宅訪問時は、対象者がどれだけ動物にお金をかけられるか、愛情を注ぐことができるか、時間をかけられるかといった手がかりを探す。
「例えば、以前に飼っていた猫の写真が飾ってあるとかね。なにもシャネルの服を着た金持ちのおばちゃんがいいというわけではなくて、金持ちじゃなくても、できる限りお金や愛情をかけられる人を選びたいですよ。すべては動物が生涯を通して幸せに暮らしていけるために、なんです」
動物を飼うということは、生半可なことではない。かわいい、かわいそうだけではできない。お金も労力もかけなければならないし、自分の時間も削らなければできない。
「動物に土日はないですし、旅行にも行けなくなりますからね。自分の生活を変えて努力しなければいけない。最低限、そういう覚悟が必要なんです。でも、そうしてともに生きていけば、お互いに得るものがある」
と中谷さん。
3か所の拠点を約10日ごとに渡り歩き、バスの中で寝起きする。
全力でいまもなお昔の夢を追いかけている。
(フリーライター山嵜信明と週刊女性取材班)
〈PROFILE〉
やまさき・のぶあき 1959年、佐賀県生まれ。大学卒業後、業界新聞社、編集プロダクションなどを経て、’94年からフリーライター。事件・事故取材を中心にスポーツ、芸能、動物などさまざまな分野で執筆している