歌舞伎俳優の市川海老蔵にとって、愛妻の一周忌は、新たな始まりへの号砲になります。
2017年6月22日にフリーキャスターの小林麻央さんが亡くなって1年がたちました。2人の子どもの父親として、歌舞伎界の名家、成田屋を背負う役者として屹立(きつりつ)しなければならない海老蔵には、実はあまり時間がないのです。
團十郎の襲名と東京五輪
市川團十郎の襲名問題に、海老蔵は直面しなければならないからです。
「一周忌までは何も持ち出さない。それが周囲の一致した振る舞いでした」
そう明かす関係者は、團十郎襲名問題について考える先、新天皇の即位、東京オリンピック・パラリンピックがどうしても関係してくると付け加えます。
「海老蔵は五輪の組織委員会の文化・教育委員会のメンバーで、開会式閉会式などで大きな役割を果たすことになります。そのときに『海老蔵』ではなく、日本を代表する『市川團十郎』として登場しないと、箔が付かないのです」
2019年の春の襲名は、時間的にあり得ない。19年秋には即位の礼があるため、
「伝統芸能の世界では、どこも大きな襲名を控えようという空気感です」
と、前出の関係者。
となると2年後の2020年春。
「團菊祭五月大歌舞伎で、團十郎襲名するという筋書きは、決してないわけではないと思いますよ。オリンピック・パラリンピックにも間に合いますからね。ただ、相当ハードなスケジュールになる。時間はありません」(前出・関係者)
襲名時に、配偶者がいれば、あいさつ回りなど裏方仕事を一手に引き受けてもらえるが、
「そこまでは難しいでしょう。当人の心の問題ですからね。あそこは勝手知ったるお母様もお元気ですし、妹の(市川)ぼたんさんもいるので、そのあたりは心配していません」(前出・関係者)
どんな時間が流れても、愛妻を亡くした悲しみは消えるわけではありませんが、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない現実もあります。”團十郎”として生きる大きな仕事に、海老蔵は向かいわなければならないのですから。
<取材・文/間垣ジェーン美瑠>