月9では「海月姫」「コンフィデンスマンJP」、木曜劇場では「刑事ゆがみ」「隣の家族は青く見える」「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」が視聴率こそ1ケタで低迷したものの、ネット上の評判はつねによく、ひいては「フジテレビのドラマは面白くなった」という声が徐々に広がっていきました。
私自身も審査員を務める「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」(オリコン)でも、昨秋に「刑事ゆがみ」が作品賞と主演男優賞(浅野忠信さん)を、今春に「コンフィデンスマンJP」が主演女優賞(長澤まさみさん)と脚本賞(古沢良太さん)を、「モンテ・クリスト伯」が主演男優賞(ディーン・フジオカさん)を受賞するなど、優れた作品を連発しているのです。
そんな追い風に乗った今夏の連ドラも、月9の「絶対零度 ~未然犯罪潜入捜査~」、木曜劇場の「グッド・ドクター」の両作とも2ケタ視聴率をキープしています。連ドラは話題性の高さから、視聴率の数字以上に視聴者のイメージを左右するテレビ局にとって重要なコンテンツ。
たとえば、TBSが不振を脱出できたのも、「半沢直樹」「下町ロケット」「逃げるは恥だが役に立つ」などの連ドラで勢いをつけてからバラエティを立て直したからと言われています。
7月27日に公開された劇場版「コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―」が興行収入100億円を視野に入れたロケットスタートを切ったことも含め、「かつてお家芸だったドラマから復活させる」という第1段階はクリアしているのです。
日テレはバラエティ好調だが油断できない状態
フジテレビに取って代わる形で視聴率トップの座に君臨する日本テレビに目を向けると、現在はTOKIOとNEWSの不祥事で直接的なダメージを受けたほか、「ジャニーズ事務所への忖度を感じた一般の人々から批判を受けはじめている」という波乱含みの状態。
バラエティの好調もあって「全体の視聴率に影響はなさそう」に見えますが、かつてフジテレビもそうだっただけに、油断できない状態とも言えるでしょう。
前回のコラム「苦境ジャニーズが各局に仕掛けた全方位営業 テレビの『Jr.』大量露出は先行投資か、忖度か」で、民放各局は若手ジャニーズタレントの大々的なPRに協力していることを書きました。
ただ、春以降に出演を増やした他局に対して、フジテレビはジャニーズJr.の冠番組を3月で終了。「両者ともに、取引先としての優先順位が落ちているのではないか」と感じてしまうのです。