ステンレスのお皿に盛られてフォークで食べる洋風スタイルは、珍しさもあり、たちまち人気に。当初は麺を製麺所に外注していたが、伸びにくい麺にこだわった三日月社長は、数年後には自社工場で製麺するようになった。
1964年の新潟地震では、都市ガスがなかなか復旧しなかったという。プロパンガスのボンベを使ってなんとか店を開けていた中、校区のバザーから声がかかる。店で調理したものを持ち込む予定だったが、またも三日月社長は、
「“おもっしょねぇ!”“気に入らねぇわ!”と。温かいものを提供したい一心で、店で使っているプロパンガスと鉄板を持ち込み、現地でイタリアンをふるまいました」
その持ち帰り容器にも“おもっしょねぇ!”が発動。屋台などで使われる四角い透明容器では、フタにソースが付着するうえ、すぐ冷めてしまう。過剰投資を心配する周りを無視し、自ら作った木型を業者に持ち込み、理想のオリジナル容器を完成させたという。
そんなできたてアツアツのイタリアンは大好評で、あちこちのバザーや文化祭で引っ張りだこ。いまや新潟のソウルフードだ。現在でもバザーでの注文については、リーズナブル価格を設定している(50個以上から)。また、数か月単位で入れ替わる、季節限定イタリアンを楽しみに訪れる人も多いそう。
県外出店の予定はないのだろうか?
「麺だけでなく、トマトソースも自社工場で作っているオリジナル。配送面を考えると、新潟市内とその近郊までが、店舗展開ギリギリのエリアなんです。会長の口癖は“ほっぺたが落ちるほどではないが、ほかでは味わえないものを”。ですから、今後もこの北越の地に根差し、店舗数を増やしていければいいなと思っています」
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