その状況の中で、結果として『うたばん』で石橋さんとコンビを組むことになったのは、まだ若く経験も浅い、アイドルの中居さんでした。その時の心境を、中居さんはこう語っています。
「(当時は)まだまだ僕なんかも発展途上というか、もう全然でしたよね」「そんな中、石橋さんが僕をパートナーとして選んでくれたっていうことは、やはり大きい」(文化放送『STOP THE SMAP』2010年10月20日)
タカさんと中居クンの関係
そうして毎週火曜のゴールデンタイムに放送を開始した『うたばん』。後に高視聴率をたたき出す要因となったのは、人気アーティストたちと繰り広げる「トークやバラエティパート」の突出した面白さでした。
この盛り上がりに関しても、中居さんは石橋さんの存在あってこその化学反応が根底にあったと分析します。
「今振り返ってみると、基本的には僕と石橋さん任せの番組なんですよ。(中略)台本があってないような感じで、話が広がったら広がったで、あとの台本は全部なくしてそのままやっちゃうような番組だったんで」
「だからすごくやりがいがあった番組なんですね。気合が入るというか。石橋さんもゲストみたいな感じですから、もう毎回、毎週、ゲストがいるわけですから」(いずれも、ニッポン放送『中居正広のSome girl' SMAP』2010年9月25日)
ゴールデンというテレビ局の大看板が自分たちに託され、その期待に応えるために2人で毎回奮闘し、14年。
2010年に番組の終了が発表されたとき、スタート時に24歳だった中居さんは『うたばん』での経験と手応えを経て、見事に38歳の名司会者へと成長を遂げていました。
そして2週に1度行われてきた収録の最終日。中居さんはその前夜、朝までずっと眠ることができなかったと、後に明かしています。
それは、自身に大きな成長の機会を与えてくれた番組との別れの寂しさはもちろん、石橋さんとの別れの寂しさも、強くあったのかもしれません。