志麻子「韓国は、夫婦や恋人同士の間に、いろんな呼び方があるでしょう。さすがにうちは“オッパ(年下の女性が年上の男性や夫に対して使う)”はムリだし」

シギョン「そうですね。反対に日本では旦那さんのことを“主人”と言うでしょう。日本の謙遜の文化が表れていると思いますが、韓国ではありえないですね。

 “チャギア(私の彼氏、私の彼女)”と呼んでもらったらどうですか? 岩井さんは“エギア(年上女性が年下男性に対して使う)”と呼んだらいいのでは?

志麻子「それって“ダーリン”とか“ハニー”とかいう感じですよね。恥ずかしいわー」

シギョン「韓国では全然恥ずかしくないです。日本人はあんまり感情をその場で出さないし、いろいろ細かい。“少々お待ちください”と言われて15分くらい待たされる。あと、“検討します”“考えておきます”って、NOのことですよね(笑)」

志麻子「日本人はなんでもはっきり言わないのが美徳ですからね。しかしほんとに日本語をよく知ってますね」

シギョン「でも、その違いが楽しいじゃないですか。いま『ハングル語講座』に出演させてもらって、日本語も勉強して……と、これまでの人生にないくらい言葉に向かい合っているのですが、言葉を学ぶと、その言葉を使っている人たちの気持ちもわかってくるんです。それがすごく楽しい。日本語をしゃべっているときの僕は、いつもより日本人ぽい考え方になるなあと自分でも思いますね(笑)」

志麻子「確かに私も韓国語を使っていると、韓国の人の気持ちがわかるような気がしますね。文化を学ぶのも大切だけど、単純に言葉を学ぶことって、お互いの感情を分かり合うのに本当に大事ですね。とはいえ、ソンさんのお歌のうまさは世界共通だと思うけど」

シギョン今度一緒にお酒を飲みに行きましょう。日本式の挨拶ではなくて、本当に行きましょう(笑)

岩井志麻子、ソン・シギョン 撮影/坂本利幸
岩井志麻子、ソン・シギョン 撮影/坂本利幸
【写真】対談している2人の様子

志麻子「ぜひぜひ。どのあたりがいいのかしら。私は新大久保の近くに住んでいるので、そこのコリアンタウンはいかがですか?」

シギョン「いや、もっと日本らしいところがいいです(苦笑)。そうそう。韓国の食べ物は身体にすぐ効くものが多いですが、サンナッチという、生きたタコを食べる料理は、岩井さんがお好きな話だと思いますが、肌によくて、夜のパワーになると言われています」

志麻子サンナッチを食べたソンさんを見てみたいわー

シギョン「(苦笑)。反対に、僕が岩井さんを日本のおいしいお店に連れて行ってあげたいです。東京の鶯谷に、とてもおいしい鶏料理を出すお店があるんですよ。『孤独のグルメ』にも出たお店です。昼間からお酒が飲めます」

志麻子「鶯谷ですって! そんなディープなところ……。何度も言うようだけど、こんなになんでもできて、私より日本に詳しいなんて、なんかずるいわあ」

<プロフィール>

岩井志麻子
1964年12月5日、 岡山県生まれ。高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞を受賞。2000年には同作で第13回山本周五郎賞を受賞。 2002年に『trai cay (チャイ・コイ)』で第2回 婦人公論文芸賞受賞。半生を赤裸々に語るトークや“エロくて変なオバチャン”を自称する強烈なキャラクターが注目を集めている。『5時に夢中!』(TOKYO MXほか)、『有吉反省会』(日本テレビ系)にレギュラー出演中。

ソン・シギョン
1979年4月17日生まれ、186センチ、A型。2000年韓国でデビュー。翌年の各種新人賞を総なめに。これまでのアルバムのセールスは通算で200万枚以上。韓国を代表するバラード歌手であり、マルチタレント。2018年4月から日本でも本格的に活動を始動。バラエティー番組への出演や、『テレビでハングル講座』(NHK Eテレ)にレギュラー出演中。公式サイト http://sungsikyung.jp/

『ソン・シギョンJAPAN CONCERT 2018 “君がいるよ”』公演日程
■神奈川:パシフィコ横浜 国立大ホール
2018年12月28日(金) OPEN 18:00 / START 19:00
■大阪:グランキューブ大阪 メインホール (大阪国際会議場)
2018年12月29日(土) OPEN 17:00 / START 18:00