山田容疑者は、すぐさま「建具屋の音がうるさい。今鳴っているから測定してくれ」─明石市環境保全課にそう電話をかけたという。

「今回、逮捕される直前までご連絡はいただいていました」

 と明かすのは同課担当者だ。

あの暴言は人権問題です

「記録に残っているもので、最初に騒音の測定をしたのは2004年でした。詳細な測定を10回ほどしています。県条例では60デシベルが騒音の基準の下限ですが、何度測定しても範囲内でした。小さな建具屋さんですから、音が鳴っていないときもあるんです。(山田容疑者に)何度も説明させていただいていましたが、納得していただけない状況が続いていました」

 山田容疑者は、警察にも苦情を訴えていた。

山田容疑者宅。写真の手前に工房があり、敷地の境の壁は騒音を抑えるため設置された
山田容疑者宅。写真の手前に工房があり、敷地の境の壁は騒音を抑えるため設置された
すべての写真を見る

「1000回ぐらい警察は呼ばれていると思います。今はもう、事情を聞かれることはほとんどないですね。“また呼ばれたんです”とひと言声をかけてくれたり、山田さんの家にそのまま行ったり。同情してくれています」

 と鈴木さん。暴言は、騒音に関する“うるさい”というものだけでなく、“泥棒”“金持ってこい”“はよ出て行け”などさまざまだ。

「あの暴言は人権問題ですよ。以前、建具屋の向かいには鉄工所があったんですが、そっちのほうがよっぽどうるさかった。ちょっと異常ですよ。よっぽど何かあったんかなぁ」

 と近隣の男性住民は事態の背景について思いをめぐらす。

 前出・山田容疑者の息子は、

「ケンカですから、やはりお互いに何かあったんだと思うんです。詳しいことは僕もわからないですけど」

 と事態が悪化した原因をつかみかねている。