キムタクがまだ未体験の役柄は?
ただ“何を演じてもキムタク”は本人のせいではなく、別のところに問題があるのかもしれない。影山教授が続ける。
「そうさせているのは作り手側だと思うんです。'96年の『古畑任三郎』で、古畑(田村正和)に唯一、殴られた犯人役は、おどおどしながら、ぼそぼそしゃべって。線が細いのに悪のテイストが漂っていて、最高でした。本人は違う役で真剣勝負したいのに、そういう役が提示されないだけかもしれません」
俳優デビューから約30年の歳月を数え、もはやベテランの域に差しかかるキムタク。華やかな職はひととおり経験したと思いきや、テレビドラマではまだ未体験ものがある。
「刑事役です。引退した田村正和さんに代わって古畑任三郎を演じた日には、間違いなく話題騒然じゃないですか?」(田幸さん)
キムタクの新境地に期待したい。
《PROFILE》
田幸和歌子さん ◎テレビドラマに詳しいフリーライター。特にNHKの朝ドラへの造詣が深い。月刊誌、週刊誌、夕刊紙などで幅広く執筆している
影山貴彦教授 ◎同志社女子大学メディア創造学科教授。毎日放送のプロデューサーを経て、現職。専門はメディアエンターテインメント論