「今回の大会では、日本代表の選出順としては宇野選手が1番だったにもかかわらず、試合前の会見では羽生選手に質問が集中したんです。

 宇野選手への質問は、実に6番目でした。複雑な思いもあったでしょうが、 “気を遣って質問していただいてありがとうございます”と記者を笑わせたあとに、“調整も順調で、この試合に初めて結果を求めて臨みたいと思っています”と、今までにない強気のコメントをしたんです。自分が1位になるんだという意気込みが感じられましたね」(同・スポーツ紙記者)

 ふたりは、平昌五輪以来の再戦となる。

「宇野選手は、国内でもずっと羽生選手に次ぐ二番手という存在でした。オリンピックを含めた主要国際大会で6試合連続2位となり、“シルバーコレクター”と呼ばれるように。でも、今年2月の四大陸選手権ではルール改正後の世界最高得点となる197・36点をフリーで叩き出し優勝。自信を深めています」(同・スポーツ紙記者)

 宇野は本来、他人の評価や結果ではなく、自分が気持ちよく滑ることができているかを追求するタイプだった。

 平昌五輪で銀メダルを獲得したあとのインタビューでも、そのマイペースさを見せていた。

「五輪で緊張しなかったのは、目指していないってことなのかな。まだ何を目指していいのかわからないけれど、毎日、全力でよりよい滑りの結果を求めていく」

 楽しむスケートを追求する宇野にとって、羽生はずっと先を進む、孤高で憧れの“兄”だった。

宇野くんが幼いころは、羽生くんが面倒を見ることもありました。10歳だった宇野くんが出場した'08年の『スケート・コペンハーゲン』では、トイレに行きたくても言い出せなかった彼を連れていってあげたことも。宇野くんは “ユヅくん”と言って慕っていました」(スケート連盟関係者) 

 羽生は3歳年下の宇野を“しょうま”と呼んで、弟のように可愛がっていたという。