「相手だけではなく、自分の中で煮えたぎっている“勝ちたい”という欲求に対して勝てたらと思います」
今回はネイサン・チェンやジェイソン・ブラウンなど、ほかにもライバルと呼べる選手がいた中で、やはり宇野のことは気にかけていたのだろう。ショートプログラム後、羽生のインタビュー中に宇野の得点が発表されると、思わず動揺して不満を漏らすひと幕も。
「思いのほか点数が低かったので、“フリップの転倒でもそんな点数低くないでしょ……”とこぼしていました。画面に映る点数を見つめていた羽生選手に、スタッフが“行きましょう”と声をかけると“ちょっと待ってくださいね……”と答えて、そのまま画面の前に数秒間立ち尽くしていたんです。
こんなにほかの選手の点数を気にする彼の姿は、かなり珍しかったです。自分のことより宇野選手の点数を気にかける姿を見て、やっぱり強い信頼関係で結ばれているんだなと感じさせられました」(前出・スポーツ紙記者)
宇野の成長が羽生を発奮させ精進する姿を見て宇野がいっそう努力する。“兄”と“弟”から“同志”となったふたり。この先も、彼らの動向から目が離せそうにない。