「初めて台本を読んだとき、ドーンと心が重くなりました。でも、その話をしたら監督に“松原さん、そうじゃないんですよ。前向きに明るく演じてください”と言われたんです」
“ひとりで抱え込まないことが大事”
映画『長いお別れ』で、認知症を発症してゆっくり記憶を失っていく夫と、2人の娘を支える専業主婦・曜子を演じた松原智恵子(74)。優しさとユーモアが詰まった“新しい認知症映画”で、
「私自身、学ぶことが多かったです。もし家族が認知症になったとしても、まずは普通に接してみようと。構えないこと。そうすれば家族みんなの気持ちが落ち込むこともない。何より、自分が明るくいられるためにもいいと思ったんです」
劇中では、家族それぞれが人生の岐路に立たされ、前に進んでいく様子が描かれる。一歩踏み出すには、“ひとりで抱え込まないことが大事”と話す。
「私、全然落ち込まない性格なんです(笑)。というのも、すぐに口に出しちゃうから。1度誰かに話すと、もうそれで忘れちゃう。ストレスを全然感じないんです。いいでしょ?」
かつては“日活三人娘”のひとりとして一世を風靡(ふうび)してきた松原。芸歴60周年も間近だ。
「今回の現場では、監督が丁寧にひとつひとつ教えてくださって、なんだか日活に入りたての新人時代を思い出して懐かしい気持ちになりました。お仕事は続けられる限りはしていきたいです。それが今、いちばんの目標ですね」
■なんでそんなにキレイ?
「エアロバイクと腹筋マシンと、バランスボールと……家の中にはほかにも健康グッズがいっぱいあります(笑)。
あとお化粧はきちんと落とすこと。お風呂で落とすのはダメ。お風呂に入る前にクリームで優しく。1度だとちゃんと落ちないので、私は2度落としています」
■夫婦円満の秘訣
「お互い、仕事のことは家で話さないようにしているんです。家に帰ると仕事のことはとにかく忘れる。
あとはカレンダーにお互いのスケジュールを書き込むようにしていて。今、何をしているのかだいたいわかっている。そのくらいの距離感が、いいんだと思います」
5月31日(金)全国公開
父(山崎努)の70歳の誕生日を祝うため、久しぶりに帰省した娘たち(竹内結子、蒼井優)。そこで母(松原智恵子)から父が認知症になったことを告げられ……。どんなことがあっても前に進む家族たちを描いた、7年間にわたる愛の物語。