山頂を探索、3つの強力
パワースポット
こうして、冒頭の女性らが休んでいた「かびれ神宮」に到着。御岩山の古称を「かびれの高峰」というだけに、天照大神や立速日男命(たちはやひをのみこと)らが祀られる重要な社だ。入山から約20分、じっとりと汗をかく。
ここから山道は難所続き。なるほど、社務所で貸し出していた杖(つえ)が恋しい。最後の岩場を乗り越え、約40分かけて標高530メートルの山頂に到着。望むのは、眼前を遮るものがない、まるで空中に立っているような神々が見る景色。間違いなくパワースポットだ!
岩場の陰にさっそく1つ目、赤く光るという「赤い石」を発見。が、周囲にはロープが張られて近づけない。しかたなく写真を撮っていると、ボランティアで案内をしているという男性に声をかけられた。
「その石を触ろうと滑落する人が多いんだよ。赤く光る? みんな触っていくものだから磨かれているだけで、そこらと同じ石。ご利益なんてないよ。ただの赤い石(笑)」
どうやらネット上で広まった“ウワサ話”だったようで。
では2つ目、宇宙にまで光を放つという「石柱」だ。男性から「こっちだよ」と教えられると、天に向かってまっすぐ伸びた石の柱が立っていた。“御幣(ごへい)”が飾られていることから、神聖なものであるのは間違いなさそう。と、こちらも《立ち入り禁止》が。
「写真を撮るために石柱に触ったり、抱きついたりする人がいてね。ブームといっても、山と神様に礼は尽くしてほしい」(ボランティア男性)
ここから崖を少し下ったところに3つ目の「天岩戸(あまのいわと)」があるのだが、こちらにも侵入を防ぐロープが。万が一のことを考えて、参拝はあきらめたほうが賢明だ。帰りは「裏山道」から下山した。
あらためて、御岩山のパワースポットについて、下条さんに聞いてみると、
「石柱も含めた山頂自体が、かつて立速日男命が降り立った、信仰の場所、御神体となっております。たしかに天岩戸には、山の神様が御静まりですが、神社としても立ち入りを禁止してございます」
SNSの影響もあり、ここ数年で写真を撮ろうと、危険な場所に立ち入って滑落、遭難するなど救急ヘリが飛ぶ回数も増加。入山時間や立ち入り区域にも、地元消防の指導が入ったようだ。
「少しでも安全を考慮して、霊山ということも含めまして、神社としましても事故のないお参りをお願いしたいところでございます」(下条さん)
パワーをもらいに行って事故にあっては本末転倒。ルールを守り謙虚な気持ちで、神々のすまう山頂を目指したい。