お腹がすいたときにも、ストレス解消にも。うれしいときも、悲しいときも、そうでもないときも。毎日の生活につきものであるお菓子。チョコレート、ポテトチップス、ケーキにお団子……各ジャンルごとにお気に入りの商品がある人も少なくないだろうが、昨今、とあるジャンルの売れ行きが右肩下がりだという。ガムだ。
生き残るガム、消え去るガムの違いは?
写真ページにある表【1】は、2003年からの各菓子の売り上げ金額の推移を表したもの。チョコレートが躍進する一方、ガムは大きく落ち込んでいる。'04年の金額を100とすれば、'18年の増減率は表【2】のとおりに。見事なガムの1人負け……。
「ガムは'04年の1881億円をピークに売り上げ金額を下げ続け、'18年は970億円にまで落ち込みました。この約15年で、ガム市場は半減したんです」
とは、マーケティングに詳しい神戸大学大学院の栗木契教授。
「若い人を中心に固いものが好まれない風潮にあります。だから、せんべいも落ち込んでいますよね?」
昨秋、『キスミント』の販売終了を決めたのは江崎グリコだ。
「ガム市場の縮小傾向の中、近年は売り上げが伸び悩んでいました。事業の選択と集中を推進するうえでの決断です。今後は特定保健用食品の『ポスカ』に注力していきます」(江崎グリコ・広報)
ガム最大手のロッテは、市場縮小をこう見ている。
「複合要因があると考えています。車の運転機会や喫煙者の減少など、ライフスタイルの変化。そして“なんとなく買わなくなった”など。従来ガムに求められていたニーズに対し、グミやタブレット、ペットボトル入り飲料などの代替商品が増えたこともあると思います」(ロッテ・広報)
スーパーでガムはレジ横に置かれているが、最近は待ち時間にスマホを見ているため“ついで買い”が見込めなくなったという専門家もいる。