主演と原作者が本音で語り合った──
「読者のみなさんに選ばれる俳優になりたい」(稲垣)
稲垣吾郎(以下、稲垣)「読者のみなさん、真剣に考えてくださってありがとうございます。僕もここに名前が挙がるような俳優さんになりたいですね」
飯田譲治(以下、飯田)「フジコの主治医の笠松とかはイケるんじゃない?」
稲垣「でも義春みたいな三枚目キャラも演じたいんです」
飯田「欲張りだね(笑)」
稲垣「何にでも合いそう、見てみたいと思われることが俳優として大事かなって」
飯田「ヒットするときって、役者がその役にズバリとハマってるときだと思う」
稲垣「飯田監督がキャスティングで気をつけていることは何ですか?」
飯田「この役をこの人にお願いしたら、すごく入れ込んでやってくれるかどうかをまず考えますね」
稲垣「つまり、やる気ですね」
飯田「そこで役が生きるかどうかが決まるんじゃないかな。でも台本の好みもある。人間だから好き嫌いはあるからね。そこもハメたいというか……」
稲垣「俳優からすると、今までやったことない役だと気合が入ると思います」
飯田「いつも同じ役を演じていると、安定感はあるけど新しさがない。タカオってさ、稲垣吾郎のイメージに合ってるんだけど、やったことがない役じゃない?」
稲垣「おっしゃるとおりです」
飯田「完全な二枚目でもない。ドジなところもあって、アタフタもする。それでいてみんなを引っ張っていく主人公。だから面白い役だと思うね」
稲垣「すごく人間味にあふれていますよね」
飯田「タカオを演じたら楽しいと思うよ(笑)」
稲垣「三池崇史監督の映画『十三人の刺客』で悪役を演じたんですけど、そこから俳優としての広がりができた気がしています」
飯田「稲垣吾郎にとってタカオもそんな役になることを期待しているよ」