継父と母は、矢部が中3のときに1度別れたが、その後、再び入籍する。

「祖母も母の姉も、みんな反対した。でも、お互い好き同士だから、またくっついちゃうんですよ。女って、バカだからね~。私もいろいろな経験をして30歳過ぎてからは、母の“女としての気持ち”が理解できるようになりました。でも、私ならもっと早く見放したかな。うちの母は優しすぎるんですよね」

もう「結婚はしなくていいや」

 矢部は中学を卒業すると上京。オーディションを受けまくり、16歳で雑誌のグランプリを受賞して、芸能界入りを果たした。妹たちも姉を頼って次々と上京。最後に、ついに4度目の離婚をした母の文子さんもやって来て、みんなで一緒に住むようになった。

 東京に来てからは、矢部が一家の大黒柱だ。

「子どものころの話をすると、“大変な苦労しましたね”って言われるけど、ひどい環境だったから精神的にも強くなったし、イジメられたから見返してやろうと芸能界を目指したんです。キツイ思い出のある北海道には絶対に戻りたくないと頑張ったから今の私があるんですよ。だから、まぁ、いっかー(笑)」

 と、明るい口調で話す。いま楽しく満たされているから、昔のことも笑って振り返ることができるという。

 妹たちが結婚し、いまは母の文子さんと2人暮らしだ。矢部には過去に、8年付き合った男性がいたが、結局、結婚はしなかった。

「彼はまじめだし、浮気もしないし、経済力もあった。私の家族とも一緒に、5年くらい同居してくれたのに……。

 私のワガママなんです。結婚したら絶対に離婚はしたくないし、母のようにはなりたくない。でも、私は母に似ている部分もある。この人のことを私はずっと愛し続けられるかな、とか、いろいろ考えちゃう。それでもう“結婚はしなくてもいいや”って」

 親の離婚をどう受け止めるかは、その人次第とはいえ、子どもの人生に与える影響は計り知れない。


矢部みほ 女優、タレント。1977年生まれ、北海道恵庭市出身。妹は元タレントの矢部(現在は河合)美佳、矢部美希。実父は地方競馬騎手であった矢部和夫。愛称は「ヤベッチ」。2010年にバー『YABEKE』をオープン。経営者としても活躍中