続いては、山口さんによる、とあるラジオ番組から流れてきた謎の“メッセージ”の話──。
ガハハハハハ! ガハハハハハ!
私のライブによく来てくださる川田さん(仮名)という方の体験談です。今から数十年前、まだラジカセが主流だった時代、川田さんは『ザ・ベストテン』に出演する歌手のトークや歌を繰り返し聞くために、毎週のように番組を録音していたそうです。
「ああ、やっぱり音楽番組は楽しいな」
その日も川田さんは録音したばかりの放送に聞き入っていました。
ガハッハ ハ ハ。
「あれ? 何の音だろう」
注意深くスピーカーに耳を傾けると、また聞こえてくる。
ガハッハ ハ ハ。
楽しげな出演者のトークに混じって、明らかに異質な音が聞こえる。
ガハハハハハ! ガハハハハハ!
笑い声──。明らかに出演者のものではない大きな笑い声が、何度も聞こえてきたそうです。ガハハハハハ! ガハハハハハ! スピーカーが壊れているのかと思うほど、がさつな高笑いが時折、聞こえてくるのです。
しかし川田さんは、録音されているはずがない、その笑い声に不思議と恐怖を感じなかったと言います。なぜなら、その特徴的な笑い声は、先日亡くなった叔父の笑い声にそっくりだったのです。
「叔父はベストテンが大好きで毎週欠かさず見ていたから、死んだ後も見たいんだ」
思わず川田さんは吹き出し怪奇現象を体験しているにもかかわらず、うれしくなってしまったと振り返ります。
「懐かしいなぁ」。そう思った川田さんは、兄妹にあたる自分の母親にこの笑い声を聞かせてあげようと、母のもとへラジカセを持って行ったそうです。
「お母さん、聞いてみてよ」
何事かわからず、目を丸くしている母親をよそに、再生ボタンを押す。
ガハハハハハ─。ガハハハハハ─。
聞こえてくる叔父の笑い声。戸惑う母に、事情を説明する川田さん。普通であれば信じられる状況ではありません。しかし、お母さんはただただ頷き、
「懐かしいね。きっと大好きだった番組を通じて、私たちに会いに来てくれたんだよ」
と、この状況を受け入れたといいます。家族の絆というのは、奇々怪々な状況にも勝るということかもしれません。涙しながら、録音されたベストテンに聞き入る母親を見て、川田さんはこの不思議な体験に感謝していました。