痛みに耐えてよく頑張った!
──参考資料は『ダイ・ハード』とか、ですかね……。今回はニューヨークに到着してまずステーキを食べたというのも、“地球温暖化について議論する場”に向かう者として常識はずれな行動だということで話題にもなりました。「できれば毎日食べたい」ともおっしゃっていましたが。
「セクシー発言と同様に、とにかく“肉欲”がすぐに出てしまう性格なのかもしれないですね。
国連気候行動サミットで、各国のリーダーの前で怒りのスピーチをした16歳のグレタ・トゥーンベリさんとの温度差がすごいです。彼女の前で“毎日ステーキ食べたい”と言おうものなら、すごい剣幕で叱り飛ばされたに違いないでしょう。
欧米では地球温暖化対策として『ミートレス運動』が流行っていますが、叩かれまくったことを機に、進次郎さんも肉食を控えれば性格が変わるのではないでしょうか。ベジタリアンになったらストイックな政治家になりそうです」
──滝川クリステルさんと結婚、すぐに入閣といった流れの時点では“次期首相候補”とメディアに持ち上げられていましたが、現在はすっかり消沈気味ですね……。
「初めてふたりが並んで立っているのをみたときは、見た目だけですごい説得力が感じられました。“世界に誇れる感”のあるビジュアルだけで国民をまやかして勢いで総理とファーストレディになれてしまうんじゃないかという気さえしましたね。でも見た目だけじゃあとで大変かもしれない、と今回の一件をみて思いましたね。
官邸で結婚発表をしたのも将来、自分が総理になったときに“この映像がワイドショーで何度も流される”と予想したうえで、“フラッシュバック”を楽しむための演出だったのかもしれません」
──それにしても話し方や間の取り方などが父・小泉純一郎さんとも似ていますよね。
「確かに心に残る感じのしゃべり方とかは似ていますよね。だからなのか、セクシー発言でスベってしまったあの瞬間、私の頭のなかにも“痛みに耐えてよく頑張った! 感動した!”の名言がこだましました。
ほかでも何かと発言が『ポエムっぽい』と揶揄され、ネットでもそういった発言を期待している人が多いようです。かつて芸能界でそのキャラだった上地雄輔さんが最近はあまり発言が話題になりませんし、世間は新たなポエマーを求めているのかもしれません。
でも、進次郎さんのそういった言動やスター性に注目するのを機に、これまで政治に関心のなかった人が興味を持つようになればいいかなと思いますね」
辛酸なめ子/漫画家・コラムニスト。
東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)『おしゃ修行』(双葉社)『魂活道場』(学研)、『ヌルラン』(太田出版)など。