――体験されてみていかがでしたか?
「住宅街にあるその教室は、先生2名のみの小さな教室でした。しかし、生徒数は30人強。このエリアでは有名な教室だったようです。ご挨拶のあと志望校を伝えると、最初に聞かれたのが“お母様は出身ですか?”ということ。
もちろん、違うという旨を伝え、志望動機を聞かれたので、“東京で有名な女子校に入れたい”と答えたところ、お説教がはじまりました。
どうやら、志望している女子校は、お母様が出身であることが大前提で、さらに代々卒業生というご家庭が大半だとか。みなさん、お腹のなかにいる頃から受験準備をしていると。そこで、“お受験とは?”という根本的なところから、気がつけば1時間以上、詳しくお話を伺いました。結果的に、こちらのお教室でお世話になることになりました」
――そのお教室のほかにもお稽古などはされましたか?
「娘と様々なお稽古を見学し、娘の希望でピアノとテニスをはじめました。テニスなら家族でもできますし、ピアノは大きなグランドピアノに大興奮し、喜んで通っていました。そのほか、お教室からデイキャンプの自然体験教室などがあることも教えていただきました。本当にこの教室には感謝以外の言葉はなかったです。
新年長と呼ばれる11月からは本格的な受験クラスがスタートし、『伸芽会』は引き続き週1回、その個人の先生は週に3回、ピアノ、テニスは週1回と、気がつけば日曜日以外はすべてお稽古になっていました。日曜日でさえデイキャンプに行く日もあったりと、忙しく駆け抜けた感じでしたね。
送迎する妻はぐったりしていましたが、意外にも本人が楽しく通っていたんです。ペーパーと呼ばれる勉強も嫌がらず、私がネットで買った、『理英会』や『こぐま会』のテキストも自らしていましたし、授業も積極的に参加していました。『伸芽会』の先生からは、ピアノやテニスが良い息抜きになっているのでしょうと言われました」
――同じくその個人のお教室で、志望校についてはどのようなアドバイスを受けましたか?
「どうしても女子校を希望するのであれば、実力重視で合格の可能性がある聖心と白百合、日本女子大豊明、立教女学院、東京女学館を。
共学の場合も、慶應幼稚舎や青学、学習院、成城といった、卒業生や関係者以外の“フリー”と呼ばれる枠内での合格はなかなか難しいという学校は回避し、実力重視の早稲田実業、成蹊などをすすめてもらいました。
そのアドバイスを受け、それぞれの学校案内やホームページなどを見て、初めて学校説明会に参加したのが年中の9月だったのですが、実際に女子校の説明会に参加してみると、学校が高級住宅街や独特の雰囲気のある地域にあったりしたため、夫婦で萎縮してしまい……。
また、女性の校長先生が校風や教育方針について品良く話されるので聞き入ってしまいましたし、どの学校も大変素晴らしかったのですが、周りの雰囲気に飲まれたのか、夫婦ともにぐったりしてしまいました。
その後、年長になったGW明け頃からは、子どもも参加できる学校説明会や行事にも参加するようになりました。すると、当たり前ですが、女子校は女子しかいないんですよね。
しかし、その女子のパワーがすごかったんです。生徒による演奏や合唱のある学校もあり、同じ制服を着て並んで演奏したり歌っている姿を拝見していると、見ている我々も襟を正さないと……と、緊張が走りました。
一方、共学の早稲田実業の説明会は、大学の講堂で行われたのですが、私が高校生のときに地方から電車を乗り継ぎ、キャンパス見学をしたことがありました。何か懐かしい感じと、説明会の内容も自然に心に入ってくるというか……とても居心地が良かったんです。共学の方が堅苦しくなくて合っているのかなと思い、大本命としました」