破局と同時に元カレの女性トラブル報道
以上のことから考えると、順調すぎる芸能人生活を送ってきたこれまでの剛力は傷もない、かつSNSウケもしない存在だったと言えるのではないでしょうか。彼女は小学生のころに、大手芸能事務所にスカウトされて芸能界入り。順調にキャリアを積み、ドラマやCMに多数出演していました。『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)で、彼女自身が家族円満であることを話していましたから、明菜のように家族に裏切られることはなさそうです。
ところが、『ボクらの時代』(フジテレビ系)で「オスカー事務所には25歳まで恋愛禁止令がある」と明かしていた剛力が、恋愛禁止の年季が明けて選んだ相手が大金持ちの前澤氏だったわけですから、「一般人と同じ」を好むSNS民には大不評。昭和であれば、清純派女優と富豪の恋愛は王道としてもてはやされたかもしれませんが、今の時代には若干そぐわないところがあります。
しかし、神は剛力を見捨ててはいません。元カレ・前澤氏の不祥事が破局後すぐに『週刊文春』(文藝春秋)に掲載されたのです。前澤氏とSNS上でやりとりをしていた既婚女性が、前澤氏の新会社『スタートトゥデイ』で秘書を募集していることを知り、履歴書を送ったそうです。オフィスに誘われた女性は採用面接だと思い出かけたところ、オフィスで関係を持ったそうですが、不採用。前澤氏は面接ではなく、個人的な興味で会ってみたかったと説明したそうで。怒った女性が『週刊文春』に売り込むと訴えると、前澤氏は警察に被害届を出すと応じて、トラブルになっているようです。
いろいろツッコむところがありすぎる話ですが、有名企業の社長ともあろう人が、職場で人妻と何をやっているんだというのが大方の見方ではないでしょうか。大富豪・前澤氏のビジネスが順調で、人格も高潔という非の打ちどころがない人物であり、かつ本当に好きな人ができて剛力と別れたいというのなら、彼女にはなんとなく「捨てられたオンナ」のようなイメージがついてしまいます。しかし、こういう「しょうもないオトコ」的なエピソードがあると「そんなヤバいオトコとは別れてよかった」と潮目を変えることができますから、彼女には願ったりかなったりな告発でしょう。
SNSでいちばんウケる“ちょうどいい傷”をもらった
剛力は前澤氏から慰謝料として金銭をもらったとかなんとかいう記事もあるようですが、事実はさておき、前澤氏からもらった最も価値あるものは、「ダメ男と交際した」という、SNSでいちばんウケる傷ではないでしょうか。また傷の程度もちょうどよい。もし二人の間で別れ話が煮詰まって刃傷ざたになったり、暴露合戦になったら重すぎて笑えないのです。仕組んだのかと疑いたくなるくらい、今回の別れは彼女にとってちょうどいい。すべてがプラスではないでしょうか。
そうはいっても、剛力が前澤氏と交際する状態の前に、すぐに戻ることは難しいでしょう。単発のドラマや舞台で実績を重ねつつ、まずはバラエティー番組で、いじってもらったらどうでしょうか。宮沢りえが婚約破棄をしたとき、「傷ものになった」という人もいましたが、今は男性と別れたくらいで価値が落ちることはありません。むしろ、傷は財産と言っていいでしょう。
「ご存じのとおり、オトコを見る目がないもので」とか「飛行機はエコノミーで十分です」と自虐できたら、演技もキャラも立つ“ニュー剛力”が誕生するかもしれません。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。