Mattがさらに売れるために必要なこと
しかし、Mattには死角もあります。彼がテレビで公開する学生時代の写真は、女子の集団の中にいるものが多いのですが、芸能界においても女優の矢田亜希子やバイオリニストの高嶋ちさ子など年上の女性に可愛がられているようです。その一方で年上男性との関係は苦手な模様。
2018年の『ペコジャニ∞!』(TBS系)で、食通として知られる堺正章がすすめるカレーを、Mattが「お腹いっぱい」と言って少ししか口をつけず、堺に「こらっ」「芸能界を知らなすぎ」と注意されていました。
また、2017年に『バイキング』(フジテレビ系)でMattについて取り上げた際、坂上忍が「うーん、存じ上げているんですが……。知らないし、別に知りたくもない」と発言したことに対し、Mattは《坂上忍って人は何者なの? あなたに僕のこと知ってほしいなんて一言も言ってませんけどね。僕もあなたのこと知りたくないし、興味も全くないので会いたくないです。さようなら》と怒りにまかせたツイートをしています(現在は削除)。テレビ界有数の実力者に一方的に「興味がない」と言われたら、ショックでしょう。学校や職場なら、ハラスメントで問題になるでしょうが、かけだしの芸能人が否定的なコメントをされるのは、ある程度お仕事のようなもの。あの美空ひばりさんとて、少女時代に作家・サトウハチローさんに「ゲテモノの少女歌手」と言われています。
とは言ってもこれらはテレビで放送されているわけですから、深刻な問題ではないのでしょう。しかし彼は新人なのですから、大御所にはそれなりの態度で接したほうがいいでしょう。
「自分が好きな人にだけ、好かれたい」「自分を傷つけた人は、許さない」というのは若い世代の考えかもしれませんが、いろいろな年代の人が見ているであろうテレビの世界で売れていこうとするのなら、「力のある人に、ほどほどに可愛がられる」能力も必要でしょう。
父・桑田氏とMattはワイモバイルのCMで共演を果たします。桑田氏は「Matt、お前の道を行け」とCM内で語りかけますが、彼が自分の道を行くためには、美容に興味のない先輩男性芸能人にも「性格のいい子」だと思わせて、応援してくれる人を増やせるかがカギになってくるかもしれません。
<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。