「海外に比べると、作り手も演じる側も努力が足りないのでは? と思う作品もありますね。見る側であるお客さんもそれでいいと許してしまっているように感じることもあって。お客さまの厳しい目がないと、そのジャンルは成熟していかないと個人的には思っています。
最近は演出も担当させていただいていますが、決して安くはないチケット代をお支払いいただいているので、お支払いいただいた以上に満足のいくものを提供すべきと思っています。自分がかかわる作品に関してはぬるま湯にならないように気をつけています」
城田が大事にする“オンとオフ”
押しも押されもせぬミュージカルスターになった今も努力を惜しまないのは、今回の写真集で対談に登場している山田孝之や佐藤健など、業界の一線で活躍する公私ともに親しい仲間から刺激を受けていることも大きいようだ。
「エンターテイナーという仕事は刺激がなければ何も生まれないと思っています。家でボーッと過ごしているだけの人に、ステージに出て派手なことをやれと言っても無理。携帯電話も充電器に差さず、放置していたら電池がなくなって使えなくなるのと一緒。美味しいものを食べたり、人としゃべったり、恋したり失恋したり、笑ったり泣いたり……。
私生活でのさまざまな経験が芝居に生かされると思います。今回、登場してくれた仲間から受ける刺激は多いし、公私ともに仲よくできる人は少ないので貴重な存在です」
順風満帆に見える芸能活動だが、かなりの紆余曲折(うよきょくせつ)があったと振り返る。
「お仕事をいただけるようになってからも立ち止まったこともあったし、走ってみたり迷ったり、暗闇の中をさまよったような状態もありました。この20周年のタイミングで改めて自分を見つめ直してみたんです。ありがたいことではあるのですが、若いころは忙しすぎて“バグ”が起きてしまい、人間として機能していなかった時期があったなと。
そのころは自分の感情を殺さないと、仕事がこなせなかった。器用な人なら同時にいろんな仕事もこなせるんでしょうが、僕には無理だなと痛感したので、30歳を過ぎたタイミングで事務所ともお話をして、自分に合ったペースで仕事をさせてもらうことにしたんです。無理をするのが、不健康のもとだとようやく気づきましたね」
幼少期のお宝スナップなど、城田優の人生がまるごと詰まった今回の写真集。
「すべてをさらけ出しました(笑)。ひとりのエンターテイナーが成長していく過程が詰まっているので、ファン以外の方にも読んでもらえたらうれしいですね」
城田優 ソロ写真集
『SonadorYuShirota20thAnniversaryBook』(主婦と生活社)4909円(税抜)(※Sonadorの「n」は正式にはnにティルデを付けたスペイン語エニェ)