――お子様の様子があまり良くない方向にいってしまったと。

「2学期になると、息子の生活はどんどん荒れていきました。授業には集中しない、お友だちとは喧嘩ばかり、通学の電車でも迷惑行為をし、学校に通報されてしまったり……夫婦で謝りに行く日々でした。

 私の病気は夏休み中に入院も手術も済ませており、学校にも担任にもママ友にも報告しておりませんでしたので、みなさん事情を知らなかったこともあり、ただただ謝ることしかできず。そんな状況ながら息子はなんとか進級していきましたが、高学年になると勉強がとても厳しくなってきました。

 そのため、幼稚園の頃から精神的発散を目的に週3回通っていた極真空手の道場に通う時間を削り、塾と家庭教師で勉強をさせたんです。

 それにより、息子は精神的に限界を迎え、ストレスが爆発する夜もありました。荒れまくる息子を全力で受け止め、支え続けておりますが、現在も成績は最下位を暴走しております。素行も悪く、成績も悪い息子はこのまま中学に上がれるのかな? 私は毎日胃が痛く、身体も不調が続いています。

 自分の理想を押しつけた結果がこれなのか? 東大やら慶應やら、夢を押しつけた結果がこれなのか? 

 お受験中には通報され、夫に問われる度に、“私がお腹を痛めて産んだ子どもなんだから、息子は私の所有物! どうやって育てようが私の勝手でしょ!?”と、きつく当たってきたせいなのか……乳がんという大きな罰は与えられたはずなのに、私の苦しみは終わりません」

――壮絶な体験をお話くださり、ありがとうございます。

この取材を受けたときに、ネットで叩かれまくることは覚悟しました。きっと、ヒドくディスられることもあるだろうと。それでも取材を終えた後、掲載に了承したのは、一緒に取材を受けてくれたママ友も泣きながら共感してくれたからです。

 きっとお受験って、子どもの個性や性質を考えず、自分の見栄だけのためにお受験している方が大半だと思います。入学後、ほかの保護者を見ていても、“どうしてこんなご家庭(お子様)が合格されたのか?”と、疑問に思う方々がたくさんいらっしゃいます。

 塾に支払った大金と引きかえに、合格レベルに達する受験テクニックを覚えて合格を勝ち取ったとしても、実際に6年間、12年間、16年間と学校に通うのはお子様本人です。その点をいま一度、冷静に踏まえて受験して欲しいですね」

<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design