「普段謝らないという姿勢をとっていた加藤紗里なんですが、今回は謝りたいと思います。この動画で不快な思いをされたみなさま、ほんとうに申し訳ございませんでした」
1月19日に加藤紗里のYouTubeチャンネルで公開されたのは『加藤紗里 ママになる!?』という動画。生理が4か月間きていない彼女が病院で検査を受けた結果、妊娠していたことが発覚するという内容なのだが、終始不安げな彼女に対し、カメラマンの「やばいやばいスクープや」「男でも女でも(子どもの名前は)ユウにしましょう。ユーチューバーの」といった“煽るかのような”態度が不快だと炎上し、数時間後に謝罪動画をアップすることとなった。
動画内では続けて、「加藤紗里、心機一転これから母として、シングルマザーとして頑張っていこうと思いますのでそちらも応援のほどよろしくお願いします」と真面目なトーンで語るのである。つい数日前に離婚を発表して、「新しい殿方とデートしていま〜す」とはっちゃけていたのとはギャップがありすぎてついていけない。打ち切りが決定した週刊連載マンガのごときスピード展開である。
クラウドファンディングが示す“キャラ崩壊”
'16年に“狩野英孝の彼女”というまさかの方角から突如、芸能界入りした加藤紗里。
それからというものの、『狩野英孝をめぐり川本真琴とバトル』、『地元・広島にカフェをオープンするも3ヶ月で閉店』、『坂口杏里から借金の申し込みを受ける』、『交際していた“ウルトラ平成バブル男”TOMOROとマレーシア旅行で3400万円窃盗被害』,etc.。
数々のニュースを提供し続けてきたが、登場人物や出来事にいつも“半笑い要素”がつきまとっていたと感じるのは私だけか。起こっていることは悲劇なはずなのに、なぜか喜劇に映ってしまうその人選の妙。キャスティングと台本が用意されているんじゃ、と一瞬疑いそうになる。窃盗被害にあったTOMOROは『週刊新潮』の取材に対し、《いまはオレ、ウルトラ“令和”バブル男なんですよ。平成はバブルに成りきれていませんでしたから、令和では思い切り行きますよ》と謎のコメントを出しているので、悲壮感はゼロに近い。結局お金も返ってきたみたいだし。
しかし、今回の『シングルマザーになることを決意』というトピックには、これまでにない切実さが滲んでいる。
かつてどれだけ炎上しようと“紗里は気にしない”を貫いていた彼女が、謝罪動画をアップし、「チャンネル登録とグッドボタンをよろしくお願いします」と広告収益に前のめりになる姿勢は、これまでとは明らかに異なる言動だ。つまり、“セレブキャラ崩壊”を余儀なくされているのである。
そんな彼女が新しく公開した動画で発表した企画が、『ハワイでマタニティ写真集を撮るためにクラウドファンディングを実施する』というもの。
これまで相手にしてきた“殿方”から一般人の“皆様”にまで貢がせ対象を広げたというわけだが、これは、殿方がお腹に子どもを宿している彼女には貢いでくれなくなったことを意味しているのだろうか。“ギロッポンでシャンパン空けて泡パーティー”をしてきたであろう殿方たちに資金援助をしてもらえず捨てられてしまったのかも、とか同情的な想像が膨らんでしまう。
とにかく、わかることは“彼女は今、お金に困っている”ということだ。『ハワイでマタニティ写真集』というド派手なワードの影に、“貧困にあえぐシングルマザーの苦悩”と重ねてしまう人も少なくないだろう。半笑いだった世間が切実さをまといはじめた瞬間ではなかろうか。
そんなこんなで、人生をコンテンツ化してきた加藤紗里が新たに“社会問題を背負ったキャラ”に転身したわけだが、これまで散々貢がせておきながら“貯蓄はしていなかったっぽい”ところがなんとも彼女らしい。そういう「打算的じゃない生き様」こそが、炎上しても息が長い秘訣なのかも──。
〈皿乃まる美・コラムニスト〉