森繁久彌夫妻の媒酌で田辺靖雄と結婚
親密すぎて“兄妹”のようになってしまった九重と田辺の関係はいっこうに進展せず。ついには一時疎遠になるが、’70年の大阪万博で久しぶりに共演することになる。
「共演すると知って “何を話そうか”と悩んでましたが、会ったら普通に“オッス”って(笑)。でもこれでもし付き合い始めたら結婚だなって思いましたね。ショーが終わった後に社長や坂本九さんが集まり、“機は熟している。さぁそろそろ婚約を考えて”って(笑)。事務所がセッティングしてくれたんです」
森繁久彌夫妻の媒酌で’73年に結婚。子どもも生まれ、’78年から育児休暇をとった彼女は子育てが一段落して芸能活動を再開すると、早々に夫婦で大きな仕事が。
「“元日から15日まで東京・赤坂でショーをふたりでやってください。これは社長命令です”って言われてね(笑)。これまで一緒に歌ったことないから驚いたよ」(田辺)
昔から家事をシェアする現代的夫婦
九重と田辺は結婚47周年。夫婦でステージをともにし長い時間を過ごしてきた。
「ステージを続けていると、ずっと来てくれた夫婦のお客さんがひとりしか来られなくなったりしてね。そういう姿を見るたびに裏切っちゃいけないって気持ちになります」
昨年12月には、ふたりで新曲をリリースした。
「家の中を整理していたら、歌詞とデモテープが出てきて。それが10年前に作曲家の伊藤薫さんからいただいた『夢の季節をはなれても』という曲だったんです。伊藤さんに報告して、すぐ収録しました。肩を寄せてお台場あたりまでドライブしたり飛行場とか見に行ったりするという歌詞は、私たちの憧れの世界なの」
そんなふたりは家が好きで仕事以外であまり外出しない。昔から家事をシェアする現代的夫婦だ。九重をそばで見続けた田辺はこう締めくくる。
「森繁さんから “夫婦一心同体にあらず” “夫婦それぞれ自分の世界があるからそれを大事にするんだぞ”と言われました。仕事も家庭も頑張らないことが円満の秘訣ですね」