生活習慣病は格好の餌食

 消化器・泌尿器系が専門の埼玉・大宮エヴァグリーンクリニックの伊勢呂哲也医師は、

「便からウイルスが検出されたこともあり、過敏性腸症候群など胃腸が弱い方も要注意だと考えられます。尿路感染はないと思われますが、尿管結石の人は重篤化しやすい糖尿病などを併せ持っていることもあるので注意したほうがいい。口腔内での繁殖を少しでも防ぐために1日1500ccの水を飲むこともおすすめします

 今のところまだ感染ルートとして報告されていないが、

「透析は同じ部屋でやりますから集団感染の危険は高い」

 と心配するのは、日本透析医学会の竜崎崇和委員長だ。

「透析をする人は免疫が低下しており、重篤化しやすい病気が潜んでいるんです。感染して身体に負担がかかると血の流れにくい動脈硬化の状態が進み、心筋梗塞や脳梗塞を発症する可能性がある」

 と危険性を明かす。

 活発化する免疫を薬で抑えるリウマチや膠原病は、免疫力が低下した際のリスクが考えられる。日本リウマチ学会の竹内勤理事長は、これまでに発症例がない、としつつも、

「薬で免疫を抑えているので感染しやすいんじゃないか、かかったときに(持病が)悪化するのではないかと心配する声もあります」

 と見えない敵に心配顔だ。

 もともと細菌感染、ウイルス感染に弱く、抵抗力も弱くなっているとされる糖尿病のような生活習慣病も、新型コロナウイルスの格好の餌食になる。日本生活習慣病予防協会の宮崎滋理事長は、

「生活習慣病は最終局面が心臓病、腎臓病、肝臓病などになります。脂肪肝や肝臓病、高血圧や糖尿病の人は発症のリスクも高まるだろうといえます」

 生活習慣病患者には、政府が自粛を呼びかける「不要不急の外出」にも注意だという。

「自宅でテレビを見ながら何かを食べているような状況になれば活動量が落ちて、生活習慣病が悪化する可能性があります。感染リスクの少ない公園や河川敷を歩いたり、食べる量を減らすなどしないと」

 と宮崎理事長が続ける。