4月24日公開の映画『一度も撃ってません』の完成報告会が3月9日に行われ、壇上には豪華キャストがズラリと並んだ。
出演は大楠道代、岸部一徳、桃井かおり、柄本明、豊川悦司、佐藤浩市、江口洋介、妻夫木聡、井上真央という主役級ばかりで、メガホンをとったのはベテランの阪本順治。一体、どんな映画なのか?
「巷で噂の殺し屋が、実は売れない小説家。理想のハードボイルド小説を書くネタ集めをするつもりが、トラブルに巻き込まれていくコメディーです。主演は名バイプレーヤーとして知られる石橋蓮司さん。撮影中に警察から職務質問され”俺のことを知らねぇのかコノ野郎! と思った“と明かして、笑いを誘っていました」(スポーツ紙記者)
弔辞のなかで交わした約束
18年ぶりの主演となるが、製作の経緯にはこんな裏話が。
「’11年に亡くなった原田芳雄さんの家で、数年前に飲み会が開かれたんです。そこにいた桃井さんが阪本監督に“芳雄の次は蓮司の映画を作ってよ。そしたら私たち、手弁当で出るから”と話したそうです」(映画配給会社関係者)
その場にいたほかの大物俳優たちの呼びかけで実現する運びとなったが、原田さんの葬儀の際、石橋は弔辞の中で、こんな“約束”を誓っていた。
「おまえが次回作、どんなことを考えていたのか、どんな声を聴き分けていたのか、何を予感していたのか。これから……家族の方々にいろいろ教わって、具体的な映画になるよう、俺も含めて一生懸命、頑張ってみるつもりだ。具体的になったならば、すぐに報告に行くから」
実際に報告はあったのか。原田さんの妻・章代さんは、
「報告という固いものではありませんが、石橋さんにお会いしたときに映画のお話はうかがっていました」
と明かし、映画の感想については、
「もし原田が生きていれば、石橋さん、岸部さん、大楠さん、桃井さんの4人にもうひとり、インパクトのある役どころが加わって、面白いことになったろうと思います。私も撮影現場に行きましたが、4人が歩いているシーンはまさに圧巻。原田は少し、やきもちをやいているかもしれませんね」
と微笑んだ。撮影は’18年12月にスタート。たった2週間で行い、年末を迎えたという。
「映画の撮影が終わってすぐ、毎年恒例になっている自宅での餅つき大会があったんです。阪本監督はじめ、石橋さん、大楠さん、岸部さん、桃井さん、佐藤さん、柄本さんの息子の佑さんなど、大勢いらして、撮影時の話をしたりと、打ち上げのような感じでしたね」(章代さん)
“居酒屋原田”と呼ばれるほど、多くの人が原田さん宅に集い、酒と言葉を交わした。
「原田さんは遺作となった映画では病気に苦しみながら演じていました。桃井さんも、盟友の石橋さんが元気なうちに、主演映画を撮ってほしいという思いがあったんでしょうね」(芸能プロ関係者)
原田さんは生前《蓮司は自分にとって、生涯においての遊び仲間》と語っている。
9年越しに果たされた約束は、原田さんが石橋に遺した最後の遊びだったのかも。