米倉の“失敗しない独立”が希望に

 前記の芸能人の中でスキルがある人は、いまもドラマや映画にブッキングされているが、ほとんど露出がない人もいる。

 テレビ局編成マンは、こんなふうに胸の内を明かす。

「一概に独立、退社といっても、それぞれにいろいろ事情がある。所属年月も違う。それらを見極めます。少しでももめた要素があるタレントさんを使う際は、元の事務所にもさぐりを入れます。ぶっちゃけ、もめた人は、相当に才能がある人でもない限り使いにくい

 そんな中、芸能人の独立に勇気を与えている存在として、前出・プロダクション幹部は、のんと『新しい地図』の3人の存在をあげる。

「特にのんですね。本名を使うことができない、というのが世間の物差しから見れば不可解なんでしょう。そういう声を聞きます。それにもめげずのんはCMに引っ張りだこで、映画にも出演している。『新しい地図』も、ネットテレビやCM、舞台、最近では少しずつテレビ出演も増えてきた。つぶれなかった彼らの存在は、今後、独立する芸能人の力強い見本になる。ただしその際、重要になることは、マネジメントできる人と組むこと。独立したところで、自分だけでは何もできないですからね」

 長年、芸能界で活躍している人には大抵、自分を支えてくれる裏方がある。

「いわゆるブレーンです。そういった人たちと組むことが、独立後も活躍できるかどうかが決まるでしょう」(前出・プロダクション幹部)

 “失敗しない女”米倉が、“失敗しない女優”として活躍できず、万が一“失敗した女優”になるようなことがあれば、独立を考える芸能人を委縮させるというマイナス効果に働く。反対に“失敗しない独立”を米倉を見せることができれば、フリーランス化を目指す芸能人に希望を与える。

<取材・文/薮入うらら>